「自分の走りを見直さなければいけないと感じた1年」~福住仁嶺:2021年振り返り~ | ARTA

2022.1.5

2022.1.5

「自分の走りを見直さなければいけないと感じた1年」~福住仁嶺:2021年振り返り~

2021年も8号車ARTA NSX-GTをドライブした福住仁嶺。彼にとっては、また新たな課題と向き合うことになった1年となった。

速さは見せられたが、最高の結果にはつながらず

福住仁嶺にとっては、SUPER GTのGT500クラスで戦うのは2年目。国内レース界でも注目を集める若手ドライバーのひとりということもあり、2021年は開幕戦から快進撃を期待する声が多数あった。

しかし、それとは裏腹に前半戦は歯車の噛み合わないレースが続いていく。第1戦岡山では予選日にまさかの苦戦を強いられ、後方グリッドから追い上げることになった。パートナーの野尻智紀がポジションを大きく上げて福住仁嶺にバトンタッチするが、なかなかペースを上げられず苦しいレース展開となってしまい、最終的に7位でチェッカーを受けた。

第2戦富士では、予選2番手を獲得。決勝レースでも序盤から力強く走り、残り30周を切ったところでトップに浮上し、迫り来るライバルに隙を与えない走りをみせていた。そのまま行けば今季初優勝だったのだが、残り20周を切ったところで1台がトラブルのためコカ・コーラコーナーで停車。それに伴い黄旗が出され追い越し禁止となっている区間で、福住仁嶺は誤ってGT300の1台を追い抜いてしまった。

「黄旗無視」としてドライブスルーペナルティを受け、結果は8位。ひとつのミスで勝利を逃すこととなり、マシンを降りた福住仁嶺は、その場で泣き崩れた。

その後も、福住仁嶺は諦めることなく、優勝を目指したが、第4戦もてぎで5位。8月に延期されての開催となった第3戦鈴鹿で11位。第5戦SUGOではポールポジションからスタートするも、様々な不運が重なり、10位で終えることとなった。

なかなか結果が出ない日々が続き、福住仁嶺の表情も次第に“悔しさ”から“落胆”に変わりつつあったが、野尻智紀とともに再起を誓い、第6戦オートポリス、第7戦もてぎで見事連勝を飾り、逆転チャンピオンの可能性を残して最終戦の富士に向かった。

喜ぶことができないシリーズ2位という結果、そこで浮き彫りになった“課題”

予選6番手からスタートした最終戦。福住仁嶺は前半スティントを担当し、序盤から果敢に攻めていったが、思うように順位を上げられず、途中からは守りに徹しなければいけない展開になった。

それでもポジションをキープし、後半の野尻智紀にバトンを渡そうとしたが、ピットストップの際にドアが外れてしまうハプニングに見舞われて大きくタイムロスを喫してしまった。最終的に6位で終わり、ドライバーズランキングは2位となった。

レース後、「いやぁー。まぁ、そうですね……」と、コメントする際も悔しさを噛み締めている福住仁嶺が、そこにいた。

「スタート直後にひとつポジションを上げることができました。そこから先も何台か抜けるかなと思いましたが、結局5番手からポジションを上げられませんでした。クルマのバランスが早い段階で崩れてきちゃって、ペースを維持するのがやっとという状態になりました」

「シリーズ2位で終わったのは僕たちとしても悔しいですし、個人的なところでも、自分の走りで見直さなければいけないと思うところもあります。それでも、SUGOまでのことを考えると、よくこの順位まで巻き返せてこられたなと思います」

年間王座のために、もっと鍛錬を……

各所で存在感ある走りをみせた福住仁嶺。その結果として、シーズン2勝を飾り、ドライバーズランキング2位という結果を勝ち取ったのだが、本人は満足している様子は一切なかった。

「2021年は僕のミスで取りこぼしてしまったところもあって、すごい責任を感じています。それは来シーズンに向けて、僕自身も成長できるようにと思っています」

「チームに迷惑をかけてしまうこともありましたが、その中でもみんな頑張ってくれたし、野尻選手にもたくさん助けてもらって、走り方だったり、クルマの作り方というところも、色々学ばせてもらいました」

「だけど、この段階でまだまだ学ばないといけない部分もたくさんあります。この環境で走れていることに感謝しつつ、2022年に向けてつなげていきたいなと思っています」

あくまで目指すのは、GT500クラスの頂点。その座を掴むまで、福住仁嶺の挑戦は終わることはない。

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