「Rd.7」噛み合わなかった歯車。最終戦は「みなさんに納得してもらえるレースを」 | ARTA
スーパーGT 第7戦 ARTA NSX-GT

2022.10.24

2022.10.24

「Rd.7」噛み合わなかった歯車。最終戦は「みなさんに納得してもらえるレースを」

2022年SUPER GT第7戦が、10月1日、2日に大分県のオートポリスで開催された。8号車ARTA NSX-GTの野尻智紀と福住仁嶺は、最終戦(第8戦もてぎ)に向けてタイトル戦線に生き残るべく、九州の地に降り立った。

前半4戦は毎回ポイントを獲得していた8号車は、後半戦に突入してからは苦しんでいる。第5戦鈴鹿は終始流れが掴めず13位、第6戦SUGOはピット作業でのミスが響き、同じく13位に終わった。この時点でトップと33ポイント差のランキング10番手に後退した野尻と福住だったが、第7戦の舞台であるオートポリスは昨年勝利を飾ったコースであり、同時にホンダ陣営が得意とするコース。期待感も高まる中でレースウィークを迎えた。

スーパーGT 第7戦 ARTA NSX-GT

 
土曜午前の公式練習では、まず走り出しの走行を福住が担当。2021年大会での実績をベースにセットアップを持ち込んだというが、車両とタイヤがうまくマッチしていないような感覚があり、セットアップの方向性をどうするべきか迷いが生じたという。

大きくタイムを伸ばせないまま、福住は野尻にドライバー交代。野尻は福住と違ってあまり悪いフィーリングを感じなかったため、その原因を探るためにアウトラップ→計測ラップ→インラップの3周サイクルで頻繁にピットインを繰り返し、予選に向けてセットアップを進めていった。

スーパーGT 第7戦 福住仁嶺


「野尻さんと僕の感じていたフィードバックはかなり違っていました。コンディション変化に対してかなり敏感な変化幅があるのかもしれませんが、僕自身が迷っている中でチームと野尻さんがしっかりカバーしてくれました」

そう語るのは福住。これまで、少なくとも昨年までは両者のコメントがここまで食い違うことはなかったという。今季からNSX Type SをベースにしているNSX-GTのコンセプトが関係しているのか、それとも——。「もしかすると、空力的にものすごく狭いゾーンで走っている状況なのかもしれません」と福住は推察する。

専有走行での赤旗もあり公式練習は14番手に終わった8号車だったが、そこでのセットアップ作業の甲斐もあって、予選に向けて車両はまずまずの仕上がりになっていた。迎えたQ1では野尻が7番手で通過すると、Q2では福住が1分32秒136をマークして6番手に。第2戦富士、第4戦富士の5番手に次ぐ予選での好結果となった。

スーパーGT 第7戦 ARTA NSX-GT

 
しかし福住はこの結果を悔しがっていた。前述の通り、コンディション変化に対する車両のフィーリングの変化も大きかったため、そこに自分が対応しきれなかったという思いがあったようだ。しかも、もし福住があとコンマ1秒タイムを削ることができていれば、予選3番手に食い込んでいたことになる。

「僕自身、(予選は)自信を持って走れていなかったのが本音です」

「Q2のクルマは僕が練習走行で走っていた時と全く違うフィーリングになっていました。クルマをガラッと変えている訳ではないですが、コンディション変化に対する(車両側の)変化に僕が対応しきれなくて、タイムを伸ばせなくて6番手に終わったという状況でした」

「自分自身の走りで言えば、50点もなかったと思います。走りでもっとタイムはカバーできたと思いますし、特に今回の予選結果は僕自身の問題だったと思います」

スーパーGT 第7戦 ARTA NSX-GT

 
予選から一夜明け、65周の決勝レースがスタートした。6番手発進の8号車はスタートドライバーを福住が務めた。福住はオープニングラップでひとつポジションを落とすも、そこからは先行車のダーティエアに苦しみながらも粘りの走りで7番手をキープしていた。

「(スティントの)前半から中盤にかけてタイムが伸びない部分もありましたが、後半は周りと差がない印象で、調子は悪くないのかなと思いました(福住)」

まずまずの手応えを持って、25周を走り切ったところでピットに戻ってきた福住。ルーティンのピット作業を行い野尻に交代したが、この際のピット作業に違反があったとして、後にドライブスルーペナルティを科されてしまう。本来禁止されているタイヤ交換と給油作業を同時に行ってしまったのだ。

スーパーGT 第7戦 ARTA NSX-GT

 
このドライブスルーが大きく響き、またもポイント圏外の11位でのフィニッシュとなった8号車。ここ数戦はマシンに手応えを感じられないレースが続いていた中で、今回は「セットアップ面である程度パフォーマンスが出せるところまでいけたので、チャンスであったことには変わりない(野尻)」状況だっただけに悔やまれる結果となった。

このレースを終えて、野尻と福住はランキング12番手へとさらに後退。逆転タイトルへの望みも文字通り消滅してしまった。前戦SUGOから2戦続けてのピットミスということもあり、「今後もこういうことを続けていると、チャンピオンを獲ることはできないと思います」と福住のコメントも手厳しい。

ともあれ、今季のSUPER GTも残すところあと1レースとなった。最終戦の舞台はホンダのお膝元でもあり、NSX-GTが得意としているモビリティリゾートもてぎ。昨年8号車が快勝し、一躍タイトル候補に躍り出たサーキットでもある。

スーパーGT 第7戦 野尻智紀


ARTAにとっては、まさに失うものはない状況。そんな最終戦に向けて野尻と福住は、それぞれの思いの丈をぶつけてくれた。

「ここまで色んなことがありましたけど、良い締め括りができるようにするしかないかなと。何より心苦しいのは、ファンの方たちが応援してくださっている中で、こんな結果を続けてしまっていることです。応援してくださっている方に納得してもらえるような結果を最後に残したいです(野尻)」

「今年はチャンピオンの可能性がない中で最終戦を迎えることになり、悔しいです。ただ僕たちは失うものは何もない状況で、リスクをとった戦略、セットアップやタイヤ選択など、振り幅を持たせることができると思うので、最終戦でしっかり結果を残して来年に繋げるレースをしたいです。今年経験したこと、学んだことを活かしてホンダ地元のもてぎで勝利を飾りたいと思っています(福住)」



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