SUPER GTでは、7月や8月といった夏場でもレースが開催され、毎年灼熱のコンディションで熱いバトルが繰り広げられる。
参戦しているマシンは、一般の乗用車と異なり、速く走ることを重視した設計になっているが、暑さ対策や装備はどうなっているのか?
今回は8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺と、55号車ARTA NSX GT3の高木真一に、話を聞いた。
一般の乗用車とは違いホースを頭につけて冷気を流す
SUPER GTに参戦する各車両はエアコンもしくはクールスーツ(詳細は後述)のシステムを導入している。その中でも、GT500クラスのマシンは、全マシンがエアコンのシステムを採用。メーカーごとによって細かな仕様はことなるが、ホンダNSX-GTは頭と背中に当たるようなものとなっている。
「頭と背中に当たるようになっています。背中はシートから出てくる感じですが、頭はホースをヘルメットにつなげて、直接冷気を取り込めるようになっています」
そう説明してくれた福住仁嶺。出てくる風も送風ではなく、しっかりと冷やされた風が出てくる。
「乗用車と同じように冷たい風なので、エアコンがあるだけで随分と違います。なので、ちゃんと風が来ているなと思う時は涼しく感じますが、走っていて興奮している状態だと、“本当にエアコンがついているのか?”と思うくらい暑くなるときもありますね。エアコンがあることで、楽な時は楽ですけど、辛い時は辛いです」
それでも、乗用車とは違って、GTカーは車内に熱がこもりやすくなるとのことで、真冬の時でも車内はかなりの暑さになっているとのこと。エアコンの使用に関しては、専用のスイッチがついているのだが、冬場でもエアコンをつけて走ることがあるというのだ。
「オン/オフのスイッチもあります。だから寒い日はエアコンを切ることもできます。とはいえ、GTカーは熱がこもりやすいので、冬場でも車内は相当暑くなります。だから、1月とか2月にテスト走行で乗ったりする時もエアコンをつけることはありますね」
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モータスポーツ界では長年使用されている“クールスーツ”システム
「55号車は基本的にクールスーツで対応しています」
そう語るのは、55号車ARTA NSX GT3をドライブする高木真一だ。
クールスーツとは、ドライバーが水の通る細い管が入ったウェアをレーシングスーツの中に着用し、ホースの先に繋がったボックス(中には氷を搭載)から冷たい水が循環することで、身体を冷やすというシステムだ。
「最初の2周くらいは効果抜群です! でも、走っているにつれて徐々に効き目は弱くなります。でも、何も無いよりは全然マシですよ」
「ただ、昔はクールスーツの素材については細かな指定はなかったんですが、最近は安全対策で厳しくなっていて、クールスーツでも難燃性の素材を使わなければいけなくなりました。昨年からアンダーウェアにホースを通すシステムになったので、循環性とかは以前と比べると変わってきている部分はあると思います」
とにかく水分補給!
こうして車内の暑さ対策も出来る限りのことはしているが、それだけで十分では無い時もある。プラスアルファで暑さに打ち勝つために、高木はこういったことを意識しているという。
「あとは体調面を万全にして臨むということですね。とにかく水分を多くとるということは意識していますね。あとは本当に暑い日になると、スタート前のグリッドで頭や首を冷やしたりして、直前まで対策はしますね」
この他にも、ARTAではピット裏に、必ず飲み物のショーケースが置かれており、ドライバーのみならずメカニックも、すぐに水分補給できるようにしているほか、ピット内の各所に大型扇風機やスポットクーラーを設置したりと、細かなところまで行き届いた対策が施されている。
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