普通と違うGTマシンの車検はどこを検査するのか!? | ARTA

2021.8.13

2021.8.13

普通と違うGTマシンの車検はどこを検査するのか!?

各地のサーキットで白熱した戦いが繰り広げられているスーパーGT。そんなスーパーGTを走るマシンにも車検がある。市販車が定期的に受ける車検とは大きく違うスーパーGTの車検は、一般的な車検と何が違い、いったいどんなことをチェックしているのかご紹介しよう。

毎レースごと行われるGTマシンの車検

「車検」と言っても、市販車が2年に1回(貨物車は1年に1回)受ける車検とはまったく違う。市販車の車検では、国が定めた最低限の安全及び環境基準である「保安基準」に適合しているかを確認するのが目的だ。

詳しくは後述するが、GTマシンの車検は、レースの公平かつ安全な運営のために行われ、出場するすべてのマシンに対して毎レースごと実施される。

実際に検査を行うのはGTA(GTアソシエイション)の専門スタッフとサーキットの技術委員が行い、専用の機材もGTAが持ち込んだものを使用。車検が実施されるのは、金曜日(搬入日)の午後と土曜日の公式練習前の早朝、そして、予選終了後に再車検を行い、決勝レース終了後と計4回実施される。

スーパーGTの車検はレースの公平性を保つため

スーパーGTの車検では、主にレースのレギュレーションやFIAのホモロゲーションに合っているかがチェックされる。

まず一般車と大きく違うポイントは、車重を計測することだ。GTマシンにとって車両の重さはタイムに直結する。統一規格のGT500はもちろん、FIA-GT3、JAF-GT、マザーシャーシという3種類のマシンが出場するGT300では、BoP(性能調整)を確実に管理ためにも、車両重量の確認は重要なポイントだ。また、第2戦以降獲得ポイントによって搭載されるサクセスウエイトの搭載量も当然確認される。

FIAのホモロゲーションに適合しているかも検査

ARTA 55号車のNSX GT3は、FIAのホモロゲーション登録をされているため、車両の寸法はもちろん、フロントスポイラーやリアディフューザー、リアウイングの高さなどを計測。ちなみに、フロントスポイラーとリアディフューザーは地面から、リアウイングはルーフから決められた高さに納めなければならない。

また、BoP のためにNA(自然吸気)エンジンを搭載したマシンはエアリストリクターで、ARTA55号車 NSX-GT3のようにターボを搭載するマシンは加給圧によってエンジン出力を抑制。もちろん上記以外にも、ルールに準じているかさまざまな項目が検査されるのだ。

どのチームもライバルよりも有利にレースを戦うため、レギュレーションの範囲内でマシンにあらゆる工夫を施すが、時には期せずして違反と判定されることもある。チームのエンジニアやメカニックたちは、最新の注意を払いながら車のセットアップを行わなければならない。

安全を最優先するための車検

スーパーGTが競技である以上、公平なルールに則って行われなければならないが、限界ギリギリの速度で競い合うスーパーGTは常まさに命の危険と隣合わせだ。そのため、マシンの安全管理は速さ以上に大切と言っても過言ではない。ロールゲージやシートベルトはもちろんのこと、衝突時の衝撃を検知するGセンサーなども必ずチェックされる。

また、マシン同士の無駄な接触を避け、レースをより安全かつ円滑に進めるために欠かせない、ヘッドライトやウインカーなどの各ランプ類、さらに、マーシャリングシステムも重要な検査項目だ。

公開車検はGTマシンを間近で観られるチャンス!

車検には公式車検と、公開車検の2種類がある。公式車検は専用車検場で行われ、各チームは決められた順番で車検場に向かう。公式車検が行われるのは、金曜日と決勝後にのみ。レース中はハイスピードで駆け抜けていくGTマシンだが、この時ばかりは、ピットクルーに押されながら並び、3日間観戦できるときはぜひ観ておきたい光景だ。

そして、もっとも注目していただきたいのが、予選日(土曜日)の朝1番で行われる公開車検。ピット前で行われる公開車検は、その名の通り一般の観客もGTマシンを間近で観ることができる。

スーパーGT専用として、統一規格で開発されたGT500のARTA 8号車 NSX-GT。そして、市販車をベースにしたGT300のARTA 55号車 NSX-GT3は、市販車とどう違うのか。レース本番以外でも、スーパーGTを楽しんでいただきたい。

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