2021.5.17

2021.5.17

時には“一歩引く”ことも重要。高木真一が若手ドライバーに共通して教えていること

今年もARTAの一員としてGT300クラスに参戦する高木真一。ここ数年はホンダの育成プロジェクトの選手と組むことが多く、2019年には福住仁嶺、2020年には大湯都史樹、2021年には佐藤蓮とともに、55号車ARTA NSX GT3をドライブしている。各ドライバーとも、それぞれキャラクターは違うのだが、SUPER GTのキャリアにおいては“大先輩”である高木は、共通して教えていることがあった。

SUPER GT特有の“混走”でのマナー

「混走のことですね。抜かせ方とか、マナーとか。GT500車両に抜かれるのは当たり前なので、そこは気をつけないといけないですし、抜かせる時の場所とかタイミングなどは教えています」

「事前に教えられるものは教えますし、実際に走った後で『ここが危なかった』と具体例が出てきた時は『そういう時はこうしたほうがいい』というアドバイスもします。NSX GT3はウインカーが少し遠い位置にあるのですけど、そこに気が取られるくらいだったら、ウインカーを出さずに別の形で意思表示をするとか……。それぞれの状況に応じた対処法をアドバイスする時もありますね」

モータースポーツの世界で“何かを教える”となると、我々はドライビングスキルの部分を連想しがちだが、そこはどのドライバーも別のカテゴリーなので経験を積んできている。だからこそ、高木はSUPER GTのレースにおいて、特に起こりやすいことを中心に話をするという。

「例えばテストの時は、GT300同士であっても(相手の)邪魔をしないようにと言っています。相手がアタック中だったらちゃんと譲ってあげるとか……当たり前のことですけど、テストでも台数は多いので、万が一何かあったら大クラッシュにつながってしまいます」

「みんな若いから、どうしてもタイムを追いかけたくなっちゃって、せっかくアタックしている時に(他のクルマに)追いついちゃう時もあります。だけど、それは運ですからね。(速さをみせるのは)今でなくていい。本番のレースだったら思い切って行かなければいけないけど、テストで無理をしても仕方がないということは話していますね」

時には“無理をしない”という選択をすることも必要

レースになると、自身の速さと強さをドライビングで証明したい気持ちが出るのが、レーシングドライバーだ。だが、高木は“無理をしないことも時には重要”だと、一緒に組む若手ドライバーたちに話をするという。それは、高木自身が長年に渡って培ってきた経験と教訓でもある。

「僕も若い時は『せっかくタイムを出したいのに!』と思うこともありましたし、とにかく必死になってやっていましたけど、そこで(無理をして)ぶつかってしまって、自分たちも相手もクルマが壊れてしまってもいけないです。『君が速いのは良くわかっているけど、それを出すのは今じゃないから』と、彼らを落ち着かせること、焦らせないようにすることを心がけています」

「“一歩引く”ということも、時には重要なんだと思います。ただ、若い子たちは目の前にライバルがいると、どうしても(攻めて)行ってしますよね。どんどん自分の価値を出していかないといけないし……。だから、場合によっては『行く時はいけ!』と言うこともあります」

「SUPER GTはちょっと独特なところがあって、これだけ台数が多いと(良いタイムを)出せるのに出せないタイミングって絶対にあります。でも、そこで焦って、クラッシュして0ポイントになってしまうようなことだけは避けなければいけません。だから、サイド・バイ・サイドのバトルでも(状況を)見極めるのが大事なんです」

ポイントを取りこぼさないことが、チャンピオン獲得のために重要なこと

「どんなに気をつけていても、レース中にポイントを逃すことってあります。2019年にチャンピオンを獲った時は、全戦でポイントを逃さなかったというのが、大事だったと思います」

高木は2019年に福住と組んでGT300クラスチャンピオンに輝いた。その時は全戦で欠かさずポイントを獲得していたことが、勝因のひとつとなったのだが、“時には無理をしない”という判断が的確にできていたことが大きかったという。

「今思えば、2019年の仁嶺はぶつけなかったし、無謀なことを1回もせず、見ていても安心感がありました。そこがやっぱりノーポイントのレースを作らなかったところなのかなと思います。非常にクレバーかつ安定していて、ベストな順位で常に帰ってきてくれていたと思います」

「そういう意味で、蓮は少し元気なところがあるような感じなので、その辺は僕たちがしっかりとコントロールして、教えてあげないといけないなと思っています」

2021年は高木と佐藤のコンビで戦う55号車。第1戦岡山では、無理が祟ってしまう結果となったが、シーズンは始まったばかりだ。ここから、どう巻き返していくのか、目が離せない。

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