2023 ARTA GALSを卒業 ~Vol.3 藤井マリー~ | ARTA

2023.12.25

2023.12.25

2023 ARTA GALSを卒業 ~Vol.3 藤井マリー~

2023 ARTA GALS卒業生、最後のインタビュー。

何事にも信念を持ち、毎レースの業務をこなしていたことが伝わる内容である。

―小さい頃の夢を教えてください

藤井:学校の先生か弁護士になりたかったです。子どもの頃の人生が壮絶で、生きて行くことで苦労をして来たと思うので、人生を頑張る道筋を教えられるような人になりたいと思っていました。両親が国際結婚で小さい頃は海外に住んでいました。困難なことに立ち向かうことが多く、子どもながらにいろいろ考えるようになりました。子どもなのに他人の人生にも興味があって、物語よりもエッセイやコラム、ビジネス本をたくさん読んでいました。そして強く生きていくこと、その人に合った生き方をアドバイスしてあげられるような仕事に就きたいと思うようになりました。海外から戻って9歳、10歳だったかな、学校でいじめられたりもしていました。それでも傷つきへこたれる訳ではなく、私はこの先どうやって生きていこうかと、強くしっかり考えていましたね。


―レースクイーンになるきっかけは

藤井:学生時代にスカウトされて事務所に入っていた時期がありました。しかし将来のことを考え、一か八かの仕事よりは…と思って、まず化粧品会社に5年間勤務しました。学生時代にタレント活動をしていた友人がアイドルをしていて「卒業ライブがあるから来てほしい」と誘われて行ってみたら、ステージにいる彼女がとても輝いていました。もう一度、自分も輝きたい!と思ったのが、この業界に入るきっかけになりました。それが23歳です。
化粧品会社での仕事は充実していました。その頃は店長をしていて、それ以上に目指すべき目標があるのかと見渡したら、なかったんです。自分はきっとこれから先、何でも出来ることがあるのに現状維持でいるのはもったいないと思い、会社を辞めてレースクイーンのオーディションを受けました。2017年にスポットで一戦だけ出るオーディションで、レースのことはわからないまま挑み、合格しました。
レースクイーンをずっとすると考えずになりましたが、そのままお仕事が継続となり、その後、優勝を経験する場面に出会い…自分でお仕事を続けようと思って今に至ります。

―思い出に残っていることは何でしょう

藤井:たくさんあるのですが、レースはまず予選が大切ですよね、決勝への期待も膨らみますし。いつもワクワクしながら予選日の夜は寝るのですが…、以前に予選下位で決勝は厳しいのかなと思ったことがありました。表彰台を目指して!と応援するものの、なかなか結果が出ないレースがあったんです。しかし、決勝でどんどん順位を上げて逆転で表彰台に上がったことがあり、レースは最後まで何が起こるかわからないというのを目の前で見ることがありました。こんな事ってあるんだと思ったと同時に、レースはファンの方へ希望を与えるもの、そういう仕事を自分がしているんだと思ったことがありました。すごく覚えていますね。

―今だから言えること

藤井:割と真面目に生きて来たと思っているんです。完璧主義者なのでミスなく生きて来たはずなんです。しかし、ついこの前、今だから言えることがありました。オートポリスで16号車がポールポジションを獲ったとき、楽しみすぎて夜も寝られませんでした。決勝日はグリッド上でカウントダウンボード出しを行う担当だったんです。走行開始15分前のボードとか3分前のボードとかよりも、最後に掲げる1分前ボードを持った時は、グリッドの滞在時間が短くさっさと退散しないといけないんです。でも…気持ち良かったんでしょうね、結構長くギリギリまで持ってしまっていたようです。とても気持ち良くて、目の前の光景を脳裏に焼き付けていたらみんな居ませんでした。メカニックも居なくなっていて、それはもう絶景でした。このミスには誰も気づいていなく、私は何喰わぬ顔で帰って来ました。あとから、カッコ良かったよと言ってもらえました(笑)。カウントダウンボードは、サーキットクイーンさんが担当することが多いのですが、ARTA GALSでしか経験出来ない事ですので、そのチャンスをいただき、そして自分のレースクイーンラストイヤーにそれをやることが出来てとても良かったと思います。


―この仕事で影響を受けたことなどありますか?

藤井:今まで10カテゴリーくらい関わり、いろんなチームでお仕事をして来たので、メカニックさんやスタッフさんも顔見知りの方も増えました。そして私がどこにいても、会いに来てくださる方もいます。出会った人ひとりひとりの縁を大切にしているのは、チームから教わったというか、みなさんが大切にしてくださるので、自分自身も自然とそうするようになり、ご縁のあった方々と通じあえたような気がしています。SUPER GTの最終戦もグリッドでたくさんの人をかき分けて会いに来てくださったたり、うれしい事ですよね。

―卒業宣言は、いつしましたか?した後の心境は?

藤井:10月1日に卒業宣言をしました。ずっと卒業のことが頭にありました、それこそ今年で良いのか?など考えていました。しかし、今シーズン8号車と16号車のそれぞれの優勝を見た時に、もう思い残す事はないと思いました。私の少し前に同じARTA GALSの今井みどりさんが卒業宣言をしたので、少し落ち着いてからというタイミングでしたね。2年くらい前から、自分はどこまで仕事を頑張れるんだろうと考えていましたが、優勝を経験していないのが唯一心残りだったんです。それが2台共にポールトゥウィンで叶いました。優勝を見られた瞬間、すっと気持ちに整理がついたんです。チームが決断させてくれたのかもしれませんね。

発表したあとは、丸一日泣いていました。涙もろいタイプなので…。今まで自分が言葉を大切にして来たので、メッセージやお手紙をいただくことも多く、まずXについたコメント500件くらいにじっくり目を通しました。ヤフーニュースにも取り上げていただいたので、業界や友人、周囲から沢山メッセ―ジをいただきました。そこには「お疲れさま」だけではなく「これからが楽しみ」という主旨のものが多く、これだけ沢山の言葉をいただいて、これからまた頑張ろうと前向きになれました。それがあの日でした。

―ARTAでの思い出は何かありますか?

藤井:2台の優勝がファンのみなさんも心に残っているかと思います。ファンシートの応援団のみなさんが、いつも旗を振ってくださっているのですが、その旗を見て泣きました。ずっと「無限」を応援して来られた応援団のみなさんにとっても久しぶりの勝利だったと思うのです。表彰台の眼下に広がるたくさん旗、それを見てまた泣きました。表彰サポートのため表彰台にいたのですが、あの場所から見られたこと、それも良い思い出ですね。あの場所は私たちしか登れない場所ですので。オートバックス賞も私が渡すお手伝いをしたのですが、かなり泣いていて…見られたら恥ずかしいくらいでした。

―チームとのエピソードはありますか?

藤井:16号車のドライバーお二人(大津弘樹選手、福住仁嶺選手)はパパなのですが、キッズウォークでお子様へファンサービスをしていたりすると、「子どもに会いたい!」とかわいいことをおっしゃっていました。それを「優勝して帰ってね~」と思いながら見ていましたね。お二人とも年下なのですが、今夜は何を食べたら良いですか?と質問してきたり…、レースではとってもかっこいいのですが、その時はかわいい姿に見えました。
監督さんたちですが、亜久里さんはいつも気さくにお話ししてくださいました。土屋さんはサーキット以外でもお仕事でお目にかかることも多く、さりげなく「レースクイーンもレースを盛り上げてくれている」と言ってくれたり、ほんとにうれしい事をおっしゃってくださいました。キッズウォークなどで、私は人の名前を覚えるのが得意なので、なるべくお名前を言って対応をしているのですが、ちゃんとそれを見ていてくださって、褒めてくださったり…。お客様が居ないとレースが盛り上がらない、ファンがレースを支えてくださっていると常におしゃっていますね。そして、二人ともレース界の重鎮なのにそんな素振りを見せない、そこがとても尊敬するところでした。

―ARTAで意外だったことは、ありますか?

藤井:イメージ的には、コスチュームはオレンジから近年は黒になってクールなイメージがあったので、自分に出来るのかなと思っていました。結果的に、6人それぞれの個性が出ていたと思います。6人1ユニットで、個性が無いものかと思っていましたのでそこが意外でした。今年はARTA GALSでありながら、みんなが自由にやっていたような気がします。その自由なところで可能性も広がり、盛り上がったのかなと思います。スポンサーステージのイメージは、これまで同様に崩さず硬派に行きました。最終戦だけは「オートバックス」の言葉をテレビCMみたいに抑揚をつけて言わせていただきました。うれしかったです。

またチームとレースクイーンは関わりが薄いのかと思っていたら、とってもアットホームなムードもあって、そこも意外でしたね。大会スポンサーをやられているのと、チームのブランディングもありますし、きっちりチームと分かれているのかと思ったら、そうではなかった…、それはうれしかったです。

―未来のARTA GALSへひとこと

藤井:来年はオートバックス50周年で、SUPER GTのメインスポンサーでもあります。その重責のある女の子たちですので、きちんとやってという訳ではないですが…、タイトルスポンサーを背負っているので、きっと立ち居振る舞いにも自信も出て来ると思います。胸を張って自覚を持って頑張っていただきたいですね。

―ファンのみなさまへ

藤井:今季はみなさんと一喜一憂したシーズンでした。トラブル続きだった前半戦もあって、一緒に悲しんだこともあったと思います。しかしずっと信じて一緒に応援してくれてありがとうございました。レースクイーン文化には移籍というのがあって、他のチームに行くのも珍しくはないですが…。他のプロスポーツではチアリーダーの移籍などないですよね。たまに不思議になるんですけど、その文化を理解してくださり、またどこにいてもどんな場所でも応援してくれて、家族以上にお目にかかる機会もあり、とてもありがたい存在でした。地方のサーキットにも来てくれて応援してくださり、感謝しかありません。私と出会ってくれてありがとうございました!

お疲れさまでした。言葉の端々にプロ意識や力強さを感じるコメントが多くあり、常にチームやモータースポーツへ大きな愛情を持ち取り組んできたことがわかる。お客様へのファンサービスやスタッフへの配慮を怠らない人柄で多くの功績を残してくれた。

今回インタビューを行った3名には、これから歩んで行く道程も素敵なものになるよう、また仕事に対して持たれていた誇りもしっかり次世代へ受け継がれていくことを祈念しています。

今シーズンもARTA GALSへの応援ありがとうございました。



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