絶対に強いチームを作り、クルーチーフに抜擢してくれたチームに恩返しを!~Work behind the scenes vol.4 クルーチーフ 杉尾一豊~ | ARTA

2023.10.12

2023.10.12

絶対に強いチームを作り、クルーチーフに抜擢してくれたチームに恩返しを!~Work behind the scenes vol.4 クルーチーフ 杉尾一豊~

新規チームを立ち上げる、そこで苦労することの一つに“人を取りまとめる”事があるだろう。クルーチーフの杉尾は、今季このポジションに就き新しいチームと新しい立場で向き合い、常にチームのことが頭から離れないという。
自身の若さを気にしつつも、このポジションを与えてくれたチームに感謝もしているが、むしろ、若くしてスタッフを取りまとめる立場になることで、遣り甲斐として意欲もかなり高まった事だろう。

メカニックとして2010年からレース業界に入り、2019年にこのチームでチーフメカニックとなる経験を経て今がある。業界に入った当初からさまざまなカテゴリーで経験を積み、周囲に鍛えられて来た。これまで得た見識と何より人との関わりは今、新規チームの立ち上げにとても活かせているそうだ。

もし彼が気にする年齢的に経験値で不足する部分があるとするならば、気概ある彼の言動からは彼の成長と探求心で問題なくカバーされていくはずと強く感じた。スタッフの若さが秘める「可能性」は誰もわからないもの。それに期待を込めながら話を聞いた。



―現在のお仕事と無限はどのようなチームか教えてください。

杉尾:現在8号車と16号車のクルーチーフという立場でSUPER GTに専念をして仕事をしています。昨年までは1台体制でチーフメカニックをしていました。今のチームは「若い」というのが最大の特徴です。若いからみんな勢いがあるのが良いところで、そこを自分の立場として束ねていくのが、今季からの仕事ですね。

―初年度のチームは、ここまでどんなシーズンを過ごしましたか?

杉尾:今シーズンを振り返ると大変だったことしかありません。レース中に起きたミスやペナルティの件など、みなさまの記憶に残るところとなってしまったことがありますし、初年度のチーム運営として見えて来たことや、改善していくことは沢山見えて来ています。

―ご自身のチーム作りのモットー、そして今後の目標

杉尾:自分は、現場でみんなにもいろいろと意見を言いますが、私自身の考えていることがみんなときちんとリンクしていないといけません。ですので、みんなからも私に沢山話をしてもらっています。8号車、16号車のチーフメカニックは2人も若いですが、自分との年齢差も思うほどありません。そういう意味では経験値として足りない部分もあるとは思います。しかし、それをデメリットとは捉えないで若いからこそ出来ることがありますので、そこも今後チーム作りに活かして行きたいです。

それと2台体制となった事で、高い次元で良いものを実現しないといけないと思っています。例えばクルマづくりに関しては、2台とも強いクルマを作るために、知らなかったなどというようなことにないよう意思疎通を常に図り、2台が違うクルマになってしまったなどというような事がないよう、しっかりやっていきたいです。スタッフはもともと良いメンバーが揃っていますが、2台体制で新規チームとなった事でまたチームを新しく作り直した部分があります。実力面で劣ることなく、ひとりひとりの技量を積み重ねていきたいです。ここからいかに這い上がって行くか、ちゃんと結果を出していけるのか、みなさまが我々のレースを安心して見ていただけるよう強いチームにしていきたいです。


―初年度で2台とも優勝を経験しましたね

杉尾:これはもう恵まれているとしか言いようがないです。2台になってから今まで以上に必死に努力して来ました。勝てたことをきっかけにチームもまとまって来るので、それぞれのクルマで一勝はとても大きいですね。優勝をした際には、シーズン中でみんな多忙ですが、地味にお祝いをしました。最終戦でみんなと集合写真を撮る予定になっています。みんなと写真に納まるのは記念になりますね。

杉尾さんから見て、ドライバーのみなさんはどんな感じでしょう。

杉尾:8号車のコンビは、良い組み合わせだと思います。野尻智紀選手は安定感もあって何も問題ないです。大湯都史樹選手はやっぱり宇宙人ですけど(笑)。福住仁嶺選手と大津弘樹選手は、キャラが似ていますね。走りのスタイルはそれぞれ違いますが。仁嶺選手は、性格的にとても繊細な部分を持っていて我々がサポートしてあげないとダメな時があります。大津選手は、とても優しすぎますね。4人のドライバーそれぞれのキャラクターを持っています。そして、チームにとって一緒に戦う大事な存在ですから、しっかり我々がみんなのケアをしています。

先日、レースの1週間前に、大湯選手とは都内の神社に行って来ました。彼が怪我をした時からずっと行きたいと言っていたのですが、いろんな状況を打破するために行きました。お守りをもらってきて、それは8号車と16号車に付いています。

ーでは、プライベートなことを…この業界への道筋を教えてください。

杉尾:福岡の出身なのですが、福岡から関東の自動車専門学校に入学しました。そこで、インターンとしてサーキットに行っていました。その時の現場はGT500クラスのチームを経験させていただきました。レースが好きでしたからとても良い経験だったと思います。もともとは設計をやりたかったんです。子どもの頃からラジコンが好きで、そればかりやっていて、あと釣りもして…。自分でクルマをいじりたいのとコンポーネンツの設計をしたい気持ちがありました。一浪して入りたい大学へとチャレンジしたのですが、ダメだったので頭を切り替え専門学校に入りメカニックになりました。進路は変わりましたが、クルマを極めたい気持ちは変わりませんでした。そこで学生フォーミュラなども経験しました。学生時代のインターンで知り合った方々との人脈が今でも役に立っています。業界へは、人の繋がりで入りました。

ープライベート、仕事など将来の夢は?

今は、目の前の問題に立ち向かうことでいっぱいいっぱいですね。仕事をしていないときでもチームのことを考えていて頭から離れないです。常にチームの事を考えていて、どうしたら勝てるんだろうと日々悩んでいます。この年で会社がこのポジションを任せてくれたことが業界的にはあまりないと思うので、そのチャンスを得たことを結果で返したい…、そこが今の目標と言えばそうでしょうか。たまたまタイトルを取れたと言われないように、今も、そしてシーズンオフはいろいろ時間をかけて準備をしていきたいですね。

ー業界を目指す若者へひとこと

杉尾:これまでのスタッフの声と一緒になってしまいますが、まずは、やっぱりモータースポーツに興味を持ってもらいたいですね。そして、インターンでも見学でも良いので“関わり”を持ってもらうことが大切だと思います。トライする事に対して頭ごなしに無理だとかそういうことを言うつもりもなく、いつでも「無限」はウェルカムですので門を叩いて欲しいです。われわれは敷居も高くないのですので…。

ありがとうございました。充分な経験を積んで今のポジションを得たことが、彼へのチームの信頼を感じたインタビュー。歩み始めたばかりのチーム、チームスタッフの苦悩は頑張るパワーもきっと倍増させているに違いない!
引き続き、ARTA無限ご期待を!

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