2020.11.4

2020.11.4

2020 ARTA DIGITAL Rd.6 SUZUKA GT500

NO SUCH LUCK「勝てたはずのレース」

鈴鹿は絶対に勝つ。勝ちに行ったのに勝てなかった前戦富士の悔しさを胸に、ARTAは2020年スーパーGT選手権第6戦の舞台、鈴鹿サーキットへと舞い戻ってきた。第3戦では速さがありながらも2台ともに追突でリタイアという悔しい思いをした場所でもある。

GT500クラスを戦う8号車ARTA NSX-GTは、ウェイトハンディは32kgとまだ少ない。だからこそ予選Q2では福住仁嶺がタイムアタックを敢行し、今季3回目となるポールポジションを獲得してみせた。

レースエンジニアのライアン・ディングルも驚くほどの速さだった。

ディングル「ポールポジション! 仁嶺、速すぎだよ! すごいよ!」

福住「クルマをアジャストしてくれたんでね」

ディングル「多少だよ、多少。44秒台に入ったよ! XXXXビューティ!」

福住「明日が勝負だよ、頑張りましょう」

ディングル「本当だよね、今度こそ勝ちましょう」

大興奮の予選から一夜明けて、決勝のスタートドライバーを務めるのは野尻智紀。真っ青な晴天の下でスタートが切られ、真っ赤な8号車が隊列をリードしていく。しかし13周目を迎えたあたりから野尻はリアタイヤのグリップ低下を感じ取っていた。

ディングル「今ギャップ5.5。このペースが良いよ、このまま行け」

野尻「結構リアがキツくなってきてる」

ディングル「了解、了解。12号車のラップタイムは52秒0、野尻と同じだよ」

しばらくするとフロントも厳しくなり、ARTA陣営はピットストップを考え始める。52周レースの1/3を越えるといよいよ次の福住にバトンタッチした後のことを考えながら戦略を詰めていく。

野尻「フロントもロックし始めたよ」

ディングル「了解、まだ後ろとのギャップは5.3秒でほぼ同じラップタイム。あと5周でピットインする予定だから頑張って。次のスティントはこのタイヤで良いと思う? ハードの方が良い?」

野尻「このペースで良いんだったらこのタイヤで良いと思う。もっと速く走りたいんだったらこれじゃダメ。仁嶺に風が強いから気をつけてって言っといて」

ディングル「了解」

19周目、野尻は急きょピットインの指示を受けるが、ピットレーンではGT300クラスのマシンがスロー走行をしており、大きくタイムロスを強いられてしまった。

野尻「ピットめちゃくちゃ詰まってるよ、ふざけんなよぉ〜!」

このタイムロスのせいで、ピット作業を終え福住がコクピットに収まってコースへ復帰すると3位に後退してしまっていた。

走り始めた矢先、GT300クラスの車両がコースオフしてセーフティカーが導入された。

ディングル「SC、SC」

福住「周りと同じタイミングで入るべきだったね、これ」

ディングル「12号車はペナルティかもしれない。勝てるよ、頑張れ」

たが、このセーフティカーで最後尾スタートの23号車がほぼタイムロスなくピット作業を済ませ、トップに浮上したのだ。最後までコースに留まっていたからこそ得られた幸運だった。

福住「前に23号車が出てきたけど、どういうこと?」

ディングル「23号車はものすごくラッキーだった。ピットインした直後にセーフティカーが出てピットロスが少なくなった。今23号車がトップ、12号車が2位、3位が仁嶺」

福住「OK、了解。12号車はストレートが速いからね、300と絡まないと抜けないかもしれない。

ディングル「SC明けから7周後くらいに300のトラフィックに当たるから、それを上手く使えば逆転のチャンスはあるよ、頑張ろう」

福住「絶対抜き返してやる」

ディングル「SC明けからまだレース半分残ってるから、絶対チャンスは来るよ」

リベンジを誓う福住は懸命にプッシュするが、タイヤカスを拾ってしまいグリップを失う。強引なブロックでエキサイトした福住は、ややペースが振るわない。それでも前走車がトラフィックに引っかかると前に食らいついていく。

福住「左コーナーが全然止まらなくなってきてる」

ディングル「了解、多分ピックアップだと思うから、プッシュプッシュ。こちらではどうすることもできないからプッシュして。ペースはまだ前のクルマより速いよ」

福住「速くないよ! 前が詰まっただけでしょ! もう全然フロントが曲がらない」

福住はなんとか12号車の攻略を試みるが、最後まで決定機は訪れず0.726秒差でフィニッシュ。

ピットレーンの運でポジションを1つ落とし、セーフティカーの運でもう1つ落とした。必死にオーバーテイクのチャンスを模索したが、抜ききれなかった。

ディングル「お疲れ様、ポジション3。よく頑張った、運が無かったね」

福住「ごめん、抜けなかった……」

勝てる速さはあった。しかし運の巡り合わせで落としたポジションを取り戻すだけの速さがなかった。

鈴木亜久里監督も、またしても勝てなかった悔しさを滲ませながらも、運という外的要因だけは自分たちではどうすることもできない。

「野尻の前半の走りは素晴らしかったね。しかし、ピットロードで遅いクルマに引っかかってしまって運が悪かった。勝てる手応えがあっただけに悔しいけど、マシンバランスは良いから残り2戦勝てるように準備します」

悔しい3位表彰台を噛み締め、残る2戦での雪辱を期す。

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