2021.6.23

2021.6.23

週末の流れを大きく左右する1周……野尻智紀が語る“予選アタックの難しさ”

SUPER GTでは、決勝レースでのスタートグリッドを決めるために、前日に公式予選が行われる。ここで万が一順位が悪くても、決勝で挽回すれば問題はないのだが、最近では参戦チームやドライバーのレベルも向上し、レースに向けた流れを作る“重要なステップ”になりつつある。

しかも、タイヤの性能を最大限引き出すとなると、実質的にチャンスは一度きり。この限られた状況の中で100%のパフォーマンスを発揮するために、どのようなことを意識して臨んでいるのか?

8号車ARTA NSX-GTをドライブする野尻智紀に聞いてみた。

SUPER GTは2段階のノックアウト方式

SUPER GTでは「ノックアウト方式」の予選が導入されている。GT500クラスでは、まずQ1と呼ばれるセッションで全15台が出走し、そこで記録されたベストタイムの9番手から15番手までの車両が脱落。その順位がそのまま決勝レースのスタートポジションとなる。

続くQ2では、Q1で勝ち上がった8台が出走し、再びタイムを計測。そこでの順位が決勝レースの1~8番グリッドとなる。なお、Q1とQ2を同じドライバーが担当することができず、出走リストも事前に提出しなければならない。

GT300も基本的な流れは同じなのだが、こちらは台数が多いためQ1は2つのグループに分けられて実施。各組の上位8台ずつがQ2へ進出する。

Q1とQ2って、どっちが緊張する?

今年でGT500クラス7年目を迎える野尻智紀。これまでもQ1担当、Q2担当と様々な場面で予選アタックをしてきたのだが、ここ最近はレベルが上がり、各チームの差がなくなってきていることもあり、緊迫感はかなり増しているという。

「最近は予選とかも緊張感も増している気がしますね。2019年までは『今回はQ1通るだろうな』という余裕みたいなものがありましたが、2020年はなかったですね『大丈夫かな?通るかな?』という感じでした」

また状況によっても、Q1とQ2でかかってくるプレッシャーが違うという。

「例えば、シーズンの終盤戦に差し掛かって、(サクセスウェイトが)0kgに近い状態で、周りがいっぱい積んでいる状態とかだと楽にQ1を通過できる感じなので、『Q1担当がいいな』と思ったりします」

「逆に開幕戦とか最終戦とかは(サクセスウェイトが全車0kgで)みんな同じ状況なので、Q1の方が嫌ですね。そこで落ちたら決勝で逆転するのは難しくなります。でも、Q2に行けば最低8番手は確保できるので、こういう時はQ1の方が嫌だなって感じます」

「フリー走行が終わって、だいたい2人のドライバーとも感じることは同じで『今回調子悪そうだな』という時は、誰もQ1行きたがらないですね」

「それと同じように、Q1をトップで終えた時のQ2担当もプレッシャーがかかって、嫌ですね。そのタイミングで一番速いクルマって、逆に言うと一番伸び代が少ないクルマでもあると思うんですよね。Q2に向けて他のチームがうまく調整してきたら、簡単に逆転されてしまうわけじゃないですか。(Q1トップだと)基本的に、それ以上ポジションが上がることはないし、下がる可能性しかないんですよね。深く考えちゃうと、プレッシャーになったりしますね」

予選アタックで意識していることは?

冒頭でも触れた通り、予選中にタイム計測ができる時間は10分程度あるのだが、100%のコンディションでタイムアタックしようとすると、そのチャンスは実質的に1周のみとなる。その一発を決めるために、何を考えているのだろうか。野尻はこのように答えた。

「予選前の組み立て方としては、タイヤのウォームアップ時の注意点や、アタック中に気をつけなければいけない部分は頭の中でおさらいしていきます。基本的に大きなミスになりやすいポイントをどんどん潰していくみたいな感じで、それ(ミスにつながること)をやらないようにしつつ、どうやったらスピードを上げられるかを考えています」

「いざピットを出てしまうと、あまり考えることはないですが、事前にしっかり準備をしておけば、いざコーナーに入った時に対処できます。SUPER GTは新品タイヤでアタックできる機会が少ないので、一発で100%に近いものを発揮するのは難しいところではありますね」

予選までのインターバルも、実はピリピリムード

この予選で週末全ての結果が決まるわけではないのだが、決勝レースに向けた流れを良くできるかという点では、予選は非常に重要なものとなる。そのため、特に公式練習が終わってから予選が始まるまでのインターバルが、一番緊張感が張り詰める時間帯でもあるという。

「朝の公式練習が終わって、順調に行っている時は問題ないんですけど、本当に上手くいっていない時は、ちょっとした選択が、もっと良くない方向にいく可能性もあります。そこで挽回できず予選で下位に沈んだら、かなり厳しくなってしまうので、そういう時は昼食をとる時間もないくらいチームとの話し合いを優先したりしますね」

現在はコロナ禍の影響で制限されているのだが、通常だと公式練習から公式予選までの“インターバル”の間にピットウォークやトークショーなどのイベントが行われる。野尻を始め、ARTAドライバーもこれらのイベントに登場するのだが、“予選に向けてどうするか?”という心配ごとが、頭の中から離れない時もあり、時にはトークショーに移動する車内でも、話し合いをしている時があるという。それだけ、一発勝負の予選アタックを決めるのは、至難の技ということなのだろう。

どうしても、モータースポーツでは決勝レースの方に目が行きがちだが、予選の戦いにも是非注目していただき、一緒にARTAの活躍を応援していただきたい。

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