2021.4.13

2021.4.13

このままでは終わるわけにいかない……。苦戦した中でもポイントを拾い集めてきた野尻&福住の“意地”

岡山国際サーキットで開幕を迎えた2021年のSUPER GT。念願のシリーズチャンピオンに向けて初戦から好結果を狙っていた8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)だったが……。

予選日に見舞われた“まさかの苦戦”

土曜日の午前に行われた公式練習では、福住が1分18秒144を記録しライバルを圧倒。2番手、3番手にも8号車と同じホンダNSX-GTを使うチームがつけ、陣営全体で午後の予選に向けて幸先の良いスタートを切ったかに思われた。

しかし、いざ予選が始まると状況は一変した。ライバルメーカーのマシンが上位を独占し、ホンダ勢は3台がQ1敗退。8号車は野尻がアタックを担当するも、14番手と、午前の結果から考えると“想定外”の順位で、土曜日の走行を終了することとなった。

「マシンのセットアップも含めて、良い方向にも悪い方向にも出てしまって、僕たちも『なぜ、急にそうなる?』ということが起きていました。朝の公式練習の最後では、急に良くなったりしていたのですが……。その辺を含めて、もう少し解析も必要かなと思っています」(野尻)

予選が終わると、8号車のメンバーはトランスポーター奥にある部屋に篭り、1時間以上にわたってミーティング。根を詰めるようなこの状況は、最近では滅多に見られなかったことである。

日曜日になっても、ギリギリまでマシンのセッティングの変更に追われるなど、予選での下位に沈んでしまった原因の究明と挽回するための策を練っていた8号車のメンバーたち。決勝前のグリッドでも、いつになく緊迫した雰囲気が漂っていたが、ドライバーのふたりをはじめ、チーム全員が“このままでは終われない!”と密かに闘志を燃やしていた。

1ポイントでも多く稼ぐため、決勝での挽回始まる

スタートは野尻が担当。岡山国際サーキットはコース上での追い抜きが難しく、序盤の10周はなかなか順位を上げられない状態が続いた。8号車のエースが意地をみせる。

16周目にポジションをひとつ上げると、そこから次々と前のマシンをオーバーテイク。18周目には2台まとめての追い抜きをみせ、9番手に浮上すると、ペースを上げて前のマシンを追いかけた。

「こういう時に上がっていけないと、チャンピオンシップのことを言っていられません。そういう意味では、なんとか最低限のことはできたのかなと思います」(野尻)

最終的に8番手までポジションを上げて32周目にピットイン。福住にバトンを繋いだ。ピットアウト直後にコース上でアクシデントがあったためセーフティカーが導入された。これにより前方のライバルとの差も縮まり、後半スティントでさらにポジションアップの期待もあったが……そう簡単にいかないのがSUPER GTだ。

「僕のスティントではタイヤの感触もあまり良くなくて、クルマのバランスというよりは、タイヤとクルマのマッチングがうまくできていないなという印象がありました。そこから、ずっと後ろに追われるレースが続いて、苦しい時間が多かったですけど、最後まで諦めずに、前にチャンスがあれば追い抜こうと思って、一生懸命走りました」(福住)

気がつくと、後方から後続の車両が接近し、残り10周は防戦一方の展開となってしまうが、福住は、野尻が前半に挽回してきたポジションをライバルに明け渡すことなく、最終的に7位でゴール。貴重な4ポイントを獲得した。

「最終的に7位で終わりましたけど、色々とデータを集めることができたと思いますし、予選でうまくいかなくて14番手スタートとなった状態から、しっかりと挽回してポイントを獲ることができました。レースでのロングランに関しても、今まで以上の進歩があったという印象。あと、もう少しの部分を詰められれば、トップに近づけると思います」

「自分のドライビングも良くないところがあったなと思っています。もう少し、工夫して走ることができれば、ペースも上げられるとはずです。そこはきちんと見直して、チームと皆さんとともに、もっと良くするために皆さんと考えていきたいと思います」(福住)

この悔しさをバネに、次戦の富士大会へ

苦しいスタートポジションからでも諦めることなく順位を上げて、チャンピオン獲得のために必要な選手権ポイントを獲得することができた8号車。ただ、このポジションで満足するわけには当然いかない。

次のレースでリベンジするためには、さらなるレベルアップが必要だと、野尻は語る。

「勝ち負けというところを考えると、この岡山では(トップとの)差は大きいなと思いました。特に今回は36号車がとても速かったですが、もし彼らがトップに立っていたら、もっと差がついていたと思います。そう考えると、僕たちももっと良くしていかないといけないです」

「……どうにかしないといけないですね。それはチームとしてもそうですけど、もしかするとホンダとしてもそうかもしれないです。車体、エンジン、セットアップ、全ての面で改善を図っていければいいのかなと思います」

「もうワンステップ上に行くために、みんなで話し合いながら、次に向かっていきたいです。でも、すでにアイディアはいくつかあります。今週末はリスクを伴う部分で試すことができなかった部分もありました。その辺を含めて、次回に向けて検討して、次はもっと良いパフォーマンスが出せればなと思います」

福住も同じように、自身のドライビングを含めて、まだまだ改善点があると考えている。

「自分のドライビングも良くないところがあったなと思っています。もう少し、工夫して走ることができれば、ペースも上げられるはずです。そこは見直しをして、チームと皆さんとともに、もっと良くするために皆さんと考えていきたいと思います」

昨年の8号車も、数々の失敗と悔しさを経験したが、それを力に変えて後半戦の快進撃につなげていった。今年も、この開幕戦の悔しさをバネに……。第2戦富士での奮起に、ご期待いただきたい。

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