2019年から3シーズンにわたってARTA GALSとして活躍してきた綾瀬まおが、今シーズン限りでのレースクイーン卒業を発表した。そこには、“ARTA愛”が溢れる彼女だからこその決断と想いがあった。
「ARTA以外でレースクイーンをやりたいチームがなかった」
コロナ禍になってしまったことでサーキットに行くことのできない時期がありましたし、ファンの皆様にも会えない状況でした。今年もう1年やらせていただいて、少しでも状況が良くなって、またお会いできたらなと思っていました。ただ、今年も、例年あったピットビューイングでもなかなかお会いできない状況が続き、すごく残念でした」
本来ならば、応援してくれたファンに直接会って感謝の気持ちを伝えてから、レースクイーンを卒業できればと考えていた綾瀬まお。しかし、今年もサーキット内での制限は緩和されず、葛藤する日々が続いた。そんな中、来年のことを考えた時に、自身の中でブレない想いがあった。
「みんなに、直接“ありがとう”と言えるまでレースクイーンをやろうかなという葛藤がすごくありました。でも『来年どこのチームのオーディションを受ける?』と考えた時に、他にやりたいチームがなくて……せっかくであれば、好きなチームでレースクイーンを卒業できればなと思いました」
近くで応援するたびに募っていた“ARTA愛”
綾瀬まおがARTA GALSの一員となったのは2019年。
最初の頃は、実はそこまで強い思い入れはなかったというが、勝利した時の喜びと、負けた時の悔しさをチームとともに経験していくにつれて、常に全力で戦うARTAのチーム、ドライバーたち、応援してくれる温かいファンの方々の魅力に惹かれていった。
「ARTAに入った最初の頃は、すごく強いチームだし、カッコいいチームだなという印象でした。
その時はレースのこともそこまで詳しくなかったですが、シーズンが進むにつれて悔しい思いをしているところを見ましたし、その悔しい思いをした後に優勝して、チームが喜んでいる姿もずっと見ているうちに……いつの間にかARTAが好きになっていました」
私の中で忘れられない言葉があるんです。
2019年に55号車がシリーズチャンピオンを獲得しましたけれど、その時のインタビューで高木真一選手が『この歳になっても夢は見られるんだ』とおっしゃっていたのが……今でもすごく心に残っています。そこから、このチームが本当に大好きになりました」
「普段はクールに見えるドライバーさんですが表彰台に上がった時のコメントで皆さんの熱い思いを聞くと……好きになっちゃいますね」
当時のことを思い出しながら話してくれた綾瀬まお。ドライバーの一喜一憂に自分も感情移入して、見守り、応援することができる唯一無二のチームがARTAであり、所属するど4人のドライバーなのだ。
「もし私が他のチームにいっても、その熱意を向けられるかと考えると……もしかしたら向けられないなと思いました」
「また、ARTAを応援してくれるファンの方が皆優しくて、スタート進行でファンシートの前を通ると旗を振ってくれたり、家族のように温かいのもARTAの魅力です」
勝利の女神として、最終戦も全力でARTAを応援
11月27日・28日の最終戦富士が、綾瀬まおにとってレースクイーン卒業の瞬間となる。周囲からは卒業を名残惜しむ声が多く、彼女もARTA GALSをやってきて良かったと感慨深い表情をみせた。
「Twitterで卒業しますと発表した時に、ファンの皆さんが卒業を惜しんでくれて『来年もARTA GALSをやってほしい』という内容のコメントがすごく多かったです」
「自分が思っている以上に反響がありました。
なかには過去の写真を載せてくださる方もいました。その中で印象に残ったのが、『レースクイーンは続けてほしいけど、ARTA GALS以外のまおち(綾瀬まお)を見たくない』というファンの方からのメッセージです……皆さんにそう思っていただいていること、私がARTAの中でやってきたことが、みんなの中で定着しているのだなと改めて実感することができて、すごく嬉しかったです」
「最終戦まで引き続き“ARTAといえば綾瀬まお”と、今以上に思ってもらえるように、最終戦も引き続き、頑張っていきたいので、一緒にARTAを応援していただければなと思います!」
卒業発表後に行われた第7戦もてぎは、GT500クラスの8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が前回のオートポリスに続く2連勝を飾り、ドライバーズランキング2番手に浮上。GT300クラスの55号車ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)も、優勝こそ叶わなかったが、最後まで粘り強い追い上げをみせ、2位表彰台を手にし、まさに“勝利の女神”の1人となっていた。
最終戦では、両クラスともチャンピオンをかけた大一番となるのだが、同時に綾瀬まおが最後までARTA GALSを全うする瞬間を……ぜひその目に焼きつけてほしい。
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