レーシングドライバーは、安全のためヘルメットを装着してレースに臨むのだが、そのカラーリングやデザインには、様々なこだわりがある。ARTAドライバーたちに、それぞれのデザインやこだわりのポイントを聞いた。第3回目は、8号車ARTA NSX-GTをドライブする野尻智紀だ。
ピンク色を入れたきっかけはカート時代
野尻といえば、鮮やかなピンク色がベースとなり、そこに蛍光色なども使ったデザインになっているのが特徴。実際にここ数年は大きなデザイン変更をしておらず、このピンクのヘルメットを見ると野尻だと分かるほど、周囲にも定着してきている。
では、なぜピンク色をヘルメットカラーにしようと思ったのか?そのきっかけは、レーシングカート時代まで遡るという。
「このカラーリングにしたのがカートの頃なんですけど、その頃に乗っていたカートがこういう色を使っていたメーカーで「そういう色にしたいなぁ」というのが、最初のきっかけでした」
「当時、安田裕信選手がピンク色を使い始めていました。その頃の安田選手が(カートの)上のカテゴリーで活躍している姿をみて、それに憧れてヘルメットのペインターさん「ピンク色とかも入れたいです」という話をしていました」
「カートの頃からオートバックスさんと繋がりがあったので、オレンジ色を入れつつ、細かなデザインは(デザイナーに)お願いして、仕上げてもらいました」
「こういったピンク色とか今までのヘルメットであまり使われなかった色が、ちょうど使われ出した時期でもあったんですよね。ある意味で転換期だったようにも思います」
カートでチャンピオンを獲得した思い出のデザイン
ヘルメットカラーの理由について、そう語った野尻だが、シーズンによっては細かな変更を入れた時もあったという。
「ピンクの部分をカートでヨーロッパに行っていた頃は緑色にしたりとか、全日本F3でTODA RACINGで走っていたころは赤色にしたりとかしましたけど、ちょっとした変更はありましたけど、結局は昔の形に戻したというのが、ここ4~5年ですね」
また野尻は、このデザインにこだわる“思い出”があることも語ってくれた。
「このデザインの時に、カートで初めてチャンピオンを獲ったんですよね。そういうのもあって、ずっとこのデザインで続けています」
このヘルメットカラーで、今度は国内最高峰の舞台でチャンピオンを獲りたい……そんな思いを胸に秘めて、レースに臨んでいるのではないだろうか。
ドライバーのレースキャリアと同様に、ヘルメットのカラーリングにも歴史がある。そこに新たな1ページがどう刻まれていくのか、これからも目が離せない。
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