コロナ禍のシーズン、昨年夏に開幕を迎えたSUPER GTは、スケジュールがタイトかつ11月の後半までずれ込み、オフシーズンが例年より短く感じられた。シーズンそのものが一年の後半に凝縮していたので、走り続けたまま開幕を迎えたと言っても過言ではない。
もっとオフシーズンが欲しかったと話すトラックエンジニアのライアン・ディングル。われわれのチームに加入し2シーズン目を迎えた。
昨シーズンは、ポールポジションの常連となる速さを魅せつけ、優勝ももたらした。終わってみればドライバーランキングを13位から5位まで躍進させた立役者のひとり。そんな大活躍の彼の開幕までと今季の展望を追う。
オフシーズンはどう過ごしていたのか?
例年、オフにはGT500クラスは海外でメーカーテストが行われることが多い。しかし、コロナ過で渡航にリスクがあり、また他のカテゴリーも年末まで押していた為ドライバーのカラダもそもそも空いていない。国内で全てオフの調整が行われた。
“オフシーズンなんてなかった”と苦笑いしながら、昨年のウィークポイントを洗い出し、どうやって改善するのかを考え、それが改善できたら昨年良かったところをどう守るのか?など、常にクルマのことばかり考えていたとのこと。“開幕に間に合った”とそのオフでのやるべき自分の仕事に自信を持ってそう言った。
プレシーズンテスト
テストについて簡単に。観る側からで言えば、非公式のメーカーテストと観客に公開されるSUPER GTを運営するGTアソシエーションが主催する公式テストがある。非公式のメーカーテストはGT500クラスのみが参加するテストであり、この2つのテストは内容に大きな違いがあるそう。
テストそのものは、自分のアイディアをドライバーと相談し、過去のセットアップを参考にしながら作ったクルマをサーキットに持ち込み、まずはそのセットをターゲットとして始める。次のセッションで改善点を見出し、また必要なアイテムがあればそれを評価する。タイヤ開発テストにも時間を割き、ロング(決勝を想定した走行)までという流れ。これがだいたいの内容。
GT公式テストでは、タイヤのセット数に限りがあり、もっとそのサーキットの特性に合わせた詳細を詰めていく。なぜなら公式テストが終わると、レースに向けて使用するタイヤを選択する時期に入るからだ。それゆえクルマもレースを想定したものを持ち込み準備に入る。
公式テストの最後のセッションにクラス別の専有走行が設けられている。タイムはあがって見えるけれど、トラフィックもない状態で走るので、クルマの様子を見られずあまり参考にならないとも教えてくれた。
今季はどうなる?
今の計画通りで行けば予選は昨年ほどの速さはないという。その代わり決勝に強さを出して行きたいとの考え。SUPER GTはトラフィックの中を強いクルマが生き残っていくレース。だから自分が作りたいのは、決勝でドライバビリティの良いクルマ、そして、どんなコンディションでも速く走れるクルマだ。それを目標にして来たが、まだ完璧ではないそう。しかし、去年よりもドライバーの2人がクルマのポテンシャルを引き出す走りをしてくれるので、それを活かし最初からポイントを獲って、常に上を目指して行きたいと話す。
開幕戦の予選では、14番手。そしてHonda陣営までもが沈んでしまい慌てたが、決勝のパフォーマンスに驚いた。ポイントもしっかり獲った。2年目のシーズンは、ますます結束を固め、伸び盛りのドライバーたちと共に昨年以上の結果をもたらすことに期待だ。
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