2023シーズン、ARTAはこれまで戦ってきた体制を一新、新たな布陣を敷いた。既報、すでに開幕戦を終えているがGT500クラスに2台体制で挑むのだ。チーム名もARTA team 無限に変更。２つのブランドがタッグを組んだ。強力な体制だけではなく武器も携えた。それはタイヤ。2台ともに百戦錬磨、スーパーＧＴで輝かしい戦績を残し続けているブリヂストンタイヤだ。

2台体制は、ご存じのように新しくはない。これまでもGT500クラスと300クラスで参戦して来たのだが、鈴鹿を取り巻くさまざまな環境とタイミングから、新たにSUPER GTでGT500クラスの2台体制を敷くトムス、ニスモに続く３チーム目のチームとして生まれ変わった。車両メンテナンスはチーム無限が担当し、2007年以来のGT500クラスのタイトル獲得に挑む。

オフシーズンから、メーカーテストで８号車がコースレコードをマークするなど、非常にポジティブな話題を巻き、随所で注目の的となってきた。満を持してブリヂストンタイヤ２台体制という武器を使うに値するデビューを遂げたことで、あとはこれから始まるシーズンをトップチームとして戦績でも君臨するだけだ。

そこで、この体制をまず築き上げた鈴木亜久里総監督の意気込みをお伝えしよう。

ーGT500クラス2台で挑む意気込み

鈴木 : お客様に対しては、両方のクラスをやることのほうがレースが盛り上がって良いのかもしれないです。GT300クラスにも応援してくれるファンが確実にいますからね。しかしここで、チームを強くしたいという自分の想いからGT500クラス2台体制にしました。2台にすることで、膨大なデータ量を得ることができます。土曜日の1時間半のプラクティスを走っても、3時間分のデータが得られる。それは大変なことかもしれません。しかし、そこはとにかくチームを強くすることで必要なことですよね。2台体制ってやっぱり強いと思うから。いろんなタイミングがあって、この体制に至ったこと、その実現が叶ったことでとてもハッピーです。

ー最強の武器、ブリヂストンタイヤを得たことに関して

鈴木 : これは我々のチームにとって、ブリヂストンタイヤを得ることはマストなのです。２台で別のタイヤを履いて戦っても意味がないのです。2台だからこそ…。そして何よりブリヂストンタイヤさんのご協力のもとでこの体制が実現できました。これもとてもハッピーなことだと思っています。

ードライバーラインナップ、チームについて

鈴木 : 今、日本で走っているドライバーの中で、トップドライバーの4人がARTA team無限に集まってくれました。これで、ますますチームを強くすることが出来ますよね。８号車も16号車もどちらかがエースという考えは、自分には全くありません。彼らはお互いがライバルだと思っていると思いますが、それでいいのです。同じチームですから、データの共有は当然ありますし、協力し合うことで良い結果を導き、ますます強くなっていってくれればと思います。ARTAと無限が組むことで何より相乗効果が絶対あります。オフシーズンのテストが好調だったりと話題になったことは、ドライバーだけではなく、エンジニア、メカニックなども素晴らしい人材が集まり頑張ってくれていることですよね。うれしく思う反面、その分、自分も頑張らないといけないと思っています。

ー他にも２チーム体制のチームがありますが

鈴木 : もちろん、うちが一番強いに決まっています（きっぱり）！　

ー今年のクルマへのこだわり

鈴木 : 今年のクルマの雰囲気良いと思いませんか？ 実は、あのオレンジ色は、私がARTAを率いて来て初期の頃に使用していたオレンジなんです。少し明るめのオレンジですが、それを今年は使ってみました。“原点回帰”とでもいうのかな～。まあ、そこまで大きな節目という訳でもないのですが、あのオレンジとってもキレイでしょ？　ピットの中でもクルマが光っている事が大事なんだよね。16号車の黒のカラーリングの差し色としてのオレンジも良いアクセントになっていていいじゃない。今年の２台は“華”があってとてもいいです。

ーファンのみなさまへ

鈴木: 新しい体制になりました。毎レース、うちの2台がトップ争いをして戦ってくれれば良いし、2台でタイトル争いをすることに期待したいですね。頑張りますので、ぜひみなさま、今シーズンはARTA team 無限をぜひ応援してください！よろしくお願いします！

鈴木：来年はもう今シーズンのような失敗はしない。万全の体制を組んで全力で勝負していくので、ファンのみなさんもぜひ期待していてください。

今年のカラーリングのオレンジは、見てすぐに気づくくらいこれまでのオレンジ色から華やかな色味に変わった。まさかの原点回帰の「オレンジ」だったとは…。心機一転、新たに2023年に挑む鈴木の気持ちの表れであろう。控え目にそんな大きな節目でもないと話す「言葉」とは裏腹に、しっかり大きな「期待」がクルマに込められていた。この2台のオレンジのこともぜひ覚えていていただきたい。

開幕戦では、荒天の中、８号車が公式練習中にスピンを喫しモノコックを変換しペナルティ。良い材料の無い状況から、決勝では３位表彰台を獲得。16号車は、11位チェッカー。ここからどんなシーズンを展開していくのか？2007年以来のタイトル獲得に向け発信したARTA team 無限にご期待ください。

またここでは、スタッフ全員にフォーカスをし、ARTA team　無限の“人”としての魅力もインサイドレポートとしてお伝えする予定です！