佐藤蓮のSUPER GT初挑戦記vol.8「ひとつの失敗が生み出した“大きな代償”」 | ARTA

2021.11.4

2021.11.4

佐藤蓮のSUPER GT初挑戦記vol.8「ひとつの失敗が生み出した“大きな代償”」

2021年のSUPER GTで、55号車ARTA NSX GT3でGT300クラスに参戦中の佐藤蓮。第6戦オートポリスでは、彼にとって苦い経験をすることとなった。

土曜朝の公式練習でクラッシュ、なんとか予選出走に間に合うも……

土曜朝の公式練習。55号車は佐藤蓮から走行を担当し、マシンセッティングの確認とタイヤチョイスの作業に入る予定だった。

今回の55号車のサクセスウェイトは90kg。GT300クラスの中でも、かなり重いものだが、走り出しから好調でトップ10圏内に入るタイムを出していた。

一旦ピットに戻り、新しいタイヤを装着してコースインしたのだが、その直後の3コーナーでコースオフを喫し、そのままタイヤバリアに真正面からぶつかってしまった。ドライブしていた佐藤蓮は無事だったが、マシンは大きなダメージを受けた。

チームはすぐに修復作業にかかるが、不運なことに今大会は併催されるサポートレースがなく、予選の開始時間も通常より約1時間早まったスケジュールとなっていた。さらに55号車は予選Q1のA組に振り分けられており、マシンの修復にかけられる時間がいつもより短かったのだ。

予備のフロントボンネットはカラーリングがされていない状態のため、当初使用していたボンネットからゼッケンを剥がし、新しいボンネットに移植。それと同時に、他のパーツを交換するなど、メカニック全員が、予選開始に間に合うように必死に作業を続けた。

その様子を見守り続けていた佐藤蓮。その表情をみると、自分が犯した失敗に対する代償の大きさを痛感しているようだった。

結局、55号車は公式練習で他チームと比べると、半分にも満たない周回数しか消化できず、パートナーの高木真一は1周も走れないままセッション終了。マシンのセッティングやタイヤ選択をするのに十分な情報を得られなかった。

「少しハード目の新品タイヤに交換してコースに出ていったんですけど、1セット目に使ったタイヤとかなりフィーリングが違っていました。メカニックさんにも高木さんにも迷惑をかけてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいです」

メカニックの懸命な作業が実り、予選開始直前に修復完了!

マシンの修復作業は予選開始5分前を切ってもまだ尚終わっていない状態だったが、メカニックたちの懸命な作業により、無事出走にこぎつけた。フロントボンネットは未塗装の状態で、55番のゼッケンだけが貼られている状態。まさにギリギリの状態でマシンを送り出した。

Q1を担当したのは佐藤蓮。朝の失敗を取り戻すべく、最後まで全力で攻め続けたが、ベストタイムは1分44秒590でA組12番手となり、Q2に進むことはできなかった。

「公式練習でクルマ自体の理解が進んでいなかったこともあって、予選で差がついてしまいました。そこはしっかりと見直しをして、決勝では鈴鹿以上の追い上げができるように頑張ります」

予選を終えても、立ち直れていない様子だった佐藤蓮。それでも、決勝で必ず巻き返すという強い思いは消えていなかった。

決勝での挽回目指すも、トラブルやアクシデント続きで流れに乗れず

GT300クラス21番手からスタートすることになった55号車。予選ではゼッケンのみ貼られていたフロントボンネットだが、予選後もメカニックが作業を続け、通常のカラーリングに戻すことはできなかったもののARTAのロゴをはじめ、各スポンサーのステッカーが貼られたものでレースに臨むこととなった。

誰もが第3戦鈴鹿のような追い上げを望んだが、決勝前にタイムを計測する「トランスポンダー」に不具合が発生し、スターティンググリッドで対応策に追われた。

レースが始まっても区間タイムが表示されないなどの不具合は続いたが、スタートドライバーを務めた高木真一は着実にポジションを上げていき、9周目には16番手に浮上した。

序盤から各所でアクシデントが相次ぎ、セーフティカーが2度導入される波乱の展開となったが、高木真一は冷静に周回を重ね、23周を終えたところで佐藤蓮に交代した。

前日の失敗を、何としても取り返したかった佐藤蓮。懸命に前のマシンを追いかけたが、思うようにペースを上げられなかった。やはり前日の公式練習でセットアップが十分にできなかったことが、ここにきて大きく響いた。

さらに40周目の第2ヘアピンで、他車に接触されてしまいスピンを喫してしまう。その時は17番手を走行していたが、これで大きくポジションを落としてしまい、最終的に20位でチェッカーを受けた。

「我々の週末ではなかったですね。今回は土曜日から作っていく流れが大事だということを、身に沁みて感じました」

「決勝でのペースは、序盤は良かったんですけど、中盤から前後ともにグリップがなくなり始めて苦しくなってしまいました。それがクルマなのかタイヤなのか、しっかりと原因を見つけて、次のもてぎではしっかりと上位を走れるようにしたいです」

オートポリス大会で、またひとつ大事なことを学んだ佐藤蓮。第7戦ツインリンクもてぎ大会で、この悔しさを晴らす走りを期待したい。

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