2021.11.11

2021.11.11

佐藤蓮の休日“レーシングシミュレーターで集中力とまとめ力を養う”

2021年シーズンから、ARTA 55号車をドライブする佐藤蓮選手。前回はスケジュールの合間を縫い、レーシングカートにスポット参戦する様子をお届けしたが、今回は自宅にあるというレーシングシミュレーターについて聞いてみた。

シミュレーターの少ない情報量で速く走らせる

「シミュレーターを導入したのは、トレーニングのためです。主に集中力と1周をまとめる力を養うのに役立っています」

レーシングシミュレーターは、通称“ハンコン”と呼ばれるハンドル型のコントローラーと、アクセルやブレーキが付いたペダル型のコントローラーで操作する。一見するといわゆるレースゲームのように見えるが、具体的にどんなことが学べるのだろうか。

「シミュレーターの場合、ハンドルと視覚(画面)からしかほとんど情報を得られません。だから、きれいに速く走らせるのは意外と難しいんですよ」

車を運転したことのある方ならお分かりだろうが、実際の運転では身体、特に腰回りで車の動きを感じ取ることができる。しかし、佐藤選手のシミュレーターの椅子は固定されているため、車のわずかな姿勢変化は、ハンドルからしか得られない。

「実車の場合、その日の気温や天候、セットによって車から感じられるインフォメーションは違うんです。だから、シミュレーターの少ない情報量で慣れておくと、実車の方が楽に感じることもあります。もちろん実車を速く走らせるのは簡単じゃないですけどね(笑)」

まだまだゲームの延長と考えられがちだが、シミュレーターと呼ばれるだけあり車の挙動は実にリアル。佐藤選手のプレイ画面は、一瞬オンボード映像かとさえ思えてしまうほどリアルだ。

また、減速、旋回、加速という基本操作をしっかりやらなければ、シミュレーターといえども車をコース上にとどめておくことすらままならない。それほど、シミュレーターでは繊細で正確な操作が求められるのだ。

納得するまで何度も乗り何度も攻める

「シミュレーターは本当によくできていて、車種によってハッキリと違いが表現されています。フォーミュラカーとGTカーはもちろん、FRなのかMRなのかによっても全然違うんです。」

スーパーGT以外にも、スーパーフォーミュラライツやレーシングカートなどのレースに参戦している佐藤選手。フォーミュラカーとGTカーという、性格の違う2つのカテゴリーに参戦しているからこそ、車の再現性はとても重要なポイントだ。

では、実際どのくらいの頻度でシミュレーターに乗っているのだろうか。

「特に決めているわけではないですけど、レース前で自宅にいるときはほぼ毎日乗っています。逆にレースの間隔が広いときは、それほど乗ってないかもしれないですね。でも、集中して乗るときは、満足するまで続けるので、1日2時間とかは乗ってます」 アイテムを集めて謎を解決し、クリアーというゴールを目指すゲームではなく、シミュレーターにゴールは無い。佐藤選手は実際にシミュレーターをどのように使っているのだろう。

「一年中いろんなサーキットを回るので、まずは各サーキットを思い出すために使ってます。あと、苦手なコーナーを何度も練習したり、セクターごとにタイムを削っていく練習をしたりしています」

「プロだからと言って、好きなときに好きなだけ乗れるわけじゃないので、何時間でも何度でも練習できるシミュレーターは、僕にとって無くてはならないですね」

身の丈に合ったシミュレーター環境

徐々に認知度を高めているレーシングシミュレーターだが、これから始めるという方にとって、プロがどんなソフトを使っているのか非常に気になるところ。そこで、佐藤選手が使っているシミュレーター環境について聞いてみた。

「僕が普段使っているのは、iRacingですが、そのほかにも、収録されているサーキットによってはAssetto Corsaなんかも使うこともあります。特にiRacingはコースの再現度がとても高くて、一番実車に近いという印象ですね。」

「ハンコンはロジクールのG29です。もっと良いハンコンなら、得られるインフォメーションも増えるかもしれません。ですが、さっき言ったみたいに、少ないインフォメーションでどう走らせるか?ということに注目すればこれはこれでアリです(笑)」

「もちろん、湾曲大型モニター3つ!なんて環境が作れれば最高かもしれませんけど、スペース的にも厳しいので、今はこの環境で満足してます」

佐藤選手のシミュレーターは、自室のベッド脇に置かれている。プロとは言ってもまだ二十歳の若者の住環境と考えれば、このサイズのシミュレーターを置くだけでもかなりなものだ。

2021年はeモータースポーツにも参戦

日々の練習にすっかりシミュレーターを使っている佐藤選手は、2021年の今年、シミュレーターを使ったレースにも参戦する。

それが、オートバックスが2020年からスポンサードしている「JEGT」だ。世界で活躍するeレーサーはもちろん、ARTAをはじめとする実在企業がチームとして参戦。国内最大規模のeモータースポーツとして開催されている。

佐藤選手は団体戦の2戦目に、ARTAのドライバーとして参加。使用されるのはグランツーリスモSPORTSなのだが、普段佐藤選手が使用しているシミュレーターとはやや趣が異なる。

「もちろんグランツーリスモはやったことがありますが、実車とは走らせ方が違います。パッとやった感じでは、トップ選手たちより1秒くらい遅い(笑)」

そう苦笑いする佐藤選手だが、JEGTに出てくるeレーサーたちは、日本のトップであると同時に、世界でもトップクラスの実力者。普段使っていないグランツーリスモでもタイムが出せてしまうのは、さすがシミュレーターに慣れ親しんだ現代のプロレーサーといったところだろう。

JEGT公式サイトはコチラ

自宅にお邪魔し、実際にシミュレーターに乗ってもらい、ドライブする真剣な表情と、私たちに話ながらの笑顔という2つの表情を見ることができた。

その表情からは、シミュレーターがゲームではなくあくまで練習であるということ、そして、走ることが本当に好きだということが伝わってくる。

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