2020.8.22

2020.8.22

2020 ARTA DIGITAL Rd.2 FUJI GT300

REACHING OUT FOR THE TOP「勝利への手応え」

開幕戦から3週間。スーパーGT選手権は再び富士スピードウェイへと集結し、第2戦が行なわれる。開幕戦の表彰台の頂点に立つことができなかったチームにとっては、再び同じサーキットでリベンジを果たすチャンスが与えられたようなものだ。もちろん、ARTAのメンバーたちもそのつもりだ。

GT300クラスを戦う55号車ARTA NSX GT3は、開幕戦からマシン自体の速さは充分にあったことから大きな変更はせずに第2戦に臨み、予選では新人大湯都史樹に合わせたセットアップで高木真一がQ1をクリアし、Q2で大湯がフルアタックすることに。前回の予選では濡れた路面のせいでQ1敗退となったため、大湯にとって初めてのスーパーGTの予選だったが、しっかりと仕事をこなして予選2位を獲得した。

GT300クラスの55号車は高木がスタートドライバーを務める。エグゼクティブアドバイザーの土屋圭市はメインストレートが追い風になっていることに目を付け、スリップストリームが効きやすいことを高木にアドバイスする。
土屋「真一、フロントタイヤとブレーキ、温めてよ。追い風だから後ろに気をつけて」
高木「はい〜了解〜」
土屋「頼むぞ」
岡島「高木さん、確認です。スタートラインはパナソニックのブリッジ。抜いちゃ駄目ですよ!」
高木「スタート前にもう1回言って!」
前回の開幕戦ではセーフティカーからのリスタート時に前走車を抜いてしまいドライブスルーペナルティを科されてしまっただけに、それを皮肉るようにレースエンジニアの岡島慎太郎がコントロールラインの位置を確認する。
そうやって前回の失敗を笑いのネタにできるほどARTAの中には良い雰囲気が満ちているということでもある。
ただし、レース序盤は元々の車重が軽いJAF-GT勢に対してFIA-GTのNSX GT3は不利であることは避けられない。タイヤが温まりきるまでは、車重が軽い方がマシンの軽快さでは有利だからだ。

高木は1周目の100Rで1台に抜かれ4位に落ちるが、なんとかそのポジションをキープしてレースを続ける。
高木「いやぁ〜、ちょっと3位はツラかったのかねぇ。頑張りますよ、ここから」
土屋「真一、タイヤが温まれば大丈夫だから、心配ないよ」
しかしJAF-GT勢に比べてFIA-GT勢は燃費が良く、ピットストップでの燃料給油時間が短くて済む。
岡島「高木さん、今トップと4秒差。このまま食らいついていけばピットで抜けます」
高木「了解、頑張るよ〜」

しかし燃料が減ってマシンが軽くなってくると、別の問題が襲ってきた。
高木「結構アンダーステアだね」
岡島「了解、トップとは5秒差です。どこでアンダーですか?」
高木「全体的にアンダー。燃料が軽くならないと駄目かもしれないね、これは。ABSがすごく効くし、ヘアピンとかでも減速しきってからステアリングを切らないと全然アンダーだからね。フロント荷重にしない方が良い」

15周目にはさらに1コーナーで抜かれて5位へ後退。それでも高木はプッシュし続け、なんとかポジションをキープしてきた。
岡島「高木さん、6号車がピットインしたのでプッシュして、プッシュ。前がクリアだからプッシュ! プッシュ!」
高木「プッシュしてるよぉ〜。全然曲がらないんだよ……プッシュすればするほど曲がらないから、抑えてるけどね。頑張る」
土屋「真一、大丈夫だよ。トップ4台だけが39秒台。真一の後ろは全部40秒台だから

高木は28周目にピットインし、大湯にドライバーチェンジを行なう。ライバル勢がピットインを終えると大湯は4位に復帰した。
岡島「大湯、高木さんから。マシンが重たいときはフロントを守った方が良い。軽くなったときにフロントが残ってる方が良いから。フロントをケアして走って」
大湯「了解」
岡島「ポジション4、トップまでギャップ13秒。前の65号車まで0.8秒」
前に65号車のメルセデスAMG GT3が立ちはだかる。同じFIA-GT勢だけに差はほとんどなく、そしてやはり55号車にはアンダーステアの傾向が襲ってきたこともあって、大湯はなかなか仕掛けることができない。
岡島「今上位集団の中で一番ペースが良いよ。65号車を抜いたら前はクリアだから、頑張って抜こう」
大湯「アンダーステア過ぎて抜けない!」
岡島「了解、じゃあある程度クルマが軽くなるまで我慢しよう。65号車よりもストレートが速いから、1コーナーで抜くように頑張ろう」

それでも大湯は38周目の1コーナーで65号車を捕らえてパス。見事に3位を取り戻した。
岡島「グッジョブ、グッジョブ」
大湯「進入がキツくなってきた。トラクションもない」
岡島「了解、了解」
土屋「上位勢はみんな39秒台だから、心配しなくて良いよ。みんなツラいよ。頑張れ」
岡島「前の61号車まで11秒。61号車は39秒2、大湯は39秒3」

前とは大きなギャップが開いてしまっており、それよりも後方に食い下がる65号車を上手く抑えながらの走行に。
1秒ちょっとのギャップはじわじわと縮まってくるが、大湯はそのプレッシャーにも打ち勝って3位でチェッカードフラッグを受けた。
岡島「チェッカー、ポジション3。表彰台だよ」
大湯「やった〜!」
土屋「上出来、良い走りだった。FIA-GTトップだよ、よくやった、カッコ良かったぞ」

優勝こそならなかったが、苦境を乗り越えての表彰台。
ベテラン高木と冷静なマシン分析と、新人大湯のアグレッシブさで、55号車は開幕戦のリベンジをしっかりと果たすことができた。

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