佐藤蓮のSUPER GT初挑戦記vol.4「初表彰台で手にした“次への自信”」 | ARTA

2021.5.20

2021.5.20

佐藤蓮のSUPER GT初挑戦記vol.4「初表彰台で手にした“次への自信”」

2021年のSUPER GTで、55号車ARTA NSX GT3でGT300クラスに参戦中の佐藤蓮。5月3日~4日に富士スピードウェイで行われたシリーズ第2戦では、3位表彰台を獲得。今までは手探りの部分が多かった予選・決勝の進め方に対しても、ひとつ自信をつけることができたレースウィークとなった。

第1戦の反省を生かし、予選では好アタックをみせるも……

前回の岡山大会では予選でのタイムアタックをうまく決めることができず、本人も悔しそうな表情を見せていたが、今回の富士では反省点をしっかりと見直して、自身も納得のいく走りをみせた。

前回と同様に高木がQ1を担当し1分36秒046でB組2番手通過を果たした。続くQ2では佐藤の出番。ただ、焦ることなく落ち着いてタイヤを温めてタイムアタックに臨むと1分35秒485を記録し暫定トップに躍り出た。その翌周も連続してタイム更新を狙い、途中までの区間タイムではかなり期待できそうな感触はあったが、後半エリアでタイムが伸びず1分35秒702でベストタイム更新はならなかった。

この時点で1分35秒台を記録しているライバルは少なく、参戦2戦目でいきなりポールポジション獲得かと思われたが……最後の最後でライバルの1台が0.1秒逆転し、55号車は2番手に終わった。

予選を終えた佐藤は「いやぁ、わずかに届きませんでした」と、悔しい表情を浮かべつつも、開幕戦の時にはなかった“自信”にも似た大きな手応えを感じている様子だった。

「アタック自体は悪くなかったです。少し外したところはあったんですけど、かなり良いアタックができました。(アタックを終えて)『トップを獲れたかな?』というところだったんですが、最後に0.1秒逆転されてしまいました。そこは悔しい部分ではありますが、クルマの感触は悪くないです。FIA GT3勢の中ではトップだったので、それは良かったと思います」

「優勝争いを考えても、かなり良い場所にいると思います。しっかりと500kmを勝てるように組み立てていきたいなと思います」

最後まで冷静なドライビングを披露、開幕戦から成長を感じた第2戦決勝

今回の第2戦富士は500kmといつもより長いレース距離で争われ、途中のピットストップも2回行われる。そのためどちらかのドライバーが2回のスティントを担当しなければならないのだが、その役割を買って出たのが佐藤だった。

前日の予選で自身が獲得した2番グリッドからスタートした佐藤だが、1周目にひとつポジションを落とすと、その後も後続のライバルに追われる展開となってしまった。

しかし、レース序盤で苦しくなるというのは、事前の段階から分かっていたという。

「今回のセットアップの方向性の中で、ガソリンが重い時にペースが上がらない症状がありました。第1スティント、第3スティントともに抜かれてしまったところはありました。とりあえず、焦らずに前について行くことを考えて走っていました」

周回を重ねていくうちに、ペースを取り戻していった55号車。2番手の車両に対して1秒を切るところまで迫り、プレッシャーをかけていった。

34周目で1回目のピットストップを行い、高木真一に交代。中盤スティントも一瞬も気の抜けない上位争いとなったが、高木はそこでミスのない堅実な走りをみせた。

そして71周目に2回目のピットストップを行い、再び佐藤が乗車した。優勝・表彰台をかけたバトルはさらに激しさを増していた。ここでも第1スティント同様にガソリンが重い状態で思うようにペースを上げられず、ピットアウト直後は2番手につけていたが、4番手まで後退してしまった。

それでも佐藤は前のマシンに諦めずに食らいついていき、最後はトップを走るライバルの脱落もあり3位に浮上。最終ラップまで前を走るライバルを追い続けたが、ついに逆転することはできず。それでも3位でフィニッシュし、SUPER GT初表彰台を手にした。

初めての2スティント担当「こんなに長く走ったのは初めて!」

合計で69周を担当した佐藤。ここまで長い距離をレースで走るというのは、彼にとっても初めての経験だった。「これだけ長く走ったのは初めてでしたね。疲れたんですけど、ひとまず完走できて良かったです」と、さすがにレース直後は疲れを見せる場面もあったが、予選と同様に決勝でも何か手応えをつかんでいたのが印象的だった。

「最終スティントも最初は厳しかったですがFCYも入ったことで、うまくクールダウンすることができて、後半は良いペースで走ることができました。そこでオーバーテイクまで行くことができなかったというのは、悔しいですね」

「とりあえず完走して、表彰台に乗れたというところは一安心です。でも、まだまだ優勝も狙っていきたいですし、チャンピオン獲得に向けても頑張っていきたいところではあります」

「また走らせ方の面でも“ハコ車の乗り方はこうだ”というイメージをしっかり作って、今回は挑むことができました。それがうまく噛み合って良いペースを出すことができました」

「次戦以降は色々なサーキットでレースをすることになり、時には苦しくなる場面もあると思うんですけど、そのなかでも確実にポイントを獲って、最終戦の富士につなげられればなと思います」

残念ながら5月末に予定していた第3戦鈴鹿大会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、延期となってしまったが、開幕戦での失敗を糧に成長を遂げた佐藤が、今後どんな活躍を見せるのか、ますます目が離せない。

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