2021.1.28

2021.1.28

「もう一度ヨーロッパに戻るために……」佐藤蓮、初挑戦のSUPER GTに向け決意新たに

2021年もSUPER GTのGT500・GT300クラスに参戦するARTA。そこに新たなメンバーが加わることとなった。佐藤蓮、19歳だ。

レーシングカートで実力をつけ、2017年と2018年には全日本カート選手権の最高峰クラスであるOK部門で2年連続シリーズチャンピオンを獲得。鈴鹿サーキットレーシングスクールを経てFIA F4日本選手権に挑戦し、2019年には全14戦中11勝を挙げる活躍でシリーズチャンピオンを獲得した。2020年はフランスへ渡り同地のF4選手権に挑戦。シーズン4勝を挙げる活躍でランキング2位を勝ち取った。

2021年は再び日本に活動拠点を戻し、SUPER GTのGT300クラスではARTAの55号車から参戦することが発表された。

「やっぱりARTAの55号車というのは知名度もあって、すごくポテンシャルのあるマシンでもあると思うので、すごく嬉しいというのと楽しみだなというのが今の心境です。55号車は過去にもチャンピオンを獲得した車両ということで、多少のプレッシャーはありますけど、これからどんどんステップアップしていこうと思っている自分としては、そんなことも言っていられません。それよりも、多くの経験値を積めるように、色々なことを吸収していきたいなと思います」

佐藤がモータースポーツの世界に飛び込んだの4歳のころ。父親の勧めでゴーカートに乗ったのがきっかけだったという。そこから父と二人三脚でカートに打ち込んだという。

「父がクルマ好きで、たまたまサーキットに連れていってもらってゴーカートがあるから『乗ってみるか!』というのが最初のきっかけでした。そこから僕もどっぷりハマってしまいましたね(笑)」

「(当時は)父親がすごく厳しくて、レースで負けるとすごく怒られたりもしました。カートで集団で走っている時も一番後ろに回されて『全員抜いてこい!』みたいな感じで育てられてきました。それが今では接戦のバトル時でも強くいける部分にもつながっていて、勝負強さの根幹にもなっているのかなと思いますね」

2011年から全日本カート選手権のジュニアクラスに参戦するようになり、2013年にFPジュニアクラスでチャンピオンを獲得。その頃からARTAのサポートを受けるようになり、2017年と2018年には全日本カートの最高峰クラスであるOK部門でチャンピオンを勝ち取った。

カート界では最強ドライバーとなった佐藤。鳴り物入り4輪デビューを果たすが、参戦初年度は大苦戦。思うように結果が残せないままシーズンが終わってしまうが、佐藤はすぐに対策に乗り出した。

「1年目は練習不足だったなと強く感じました。僕はカートからSRSに行って、そのままFIA F4に出たんですが、他のライバルはJAF F4とかスーパーFJを経験している状態でした。そんなライバルと比べると根本的に走り込みが足りていなかった状況で、フォーミュラカーの動かし方という点でも足りなかったものが多かったです。その反省を生かして2018年のシーズンオフは『これでもか!』というくらいに練習しました」

「その時は角田裕毅選手や大湯都史樹選手、牧野任祐選手も活躍したところでミストさんでお世話になっていて、色々なことを教わりましたし、練習のためにF4以外の車両にも乗せてもらいました。ミストさんは色んなノウハウをもっていらっしゃるので、そこでたくさん勉強できました。その甲斐があって2019年は最初からトントン拍子でいけたなと思います」

そうして2019年はシリーズチャンピオンを獲得した佐藤は、次なるチャンスを手にする。フランスF4への挑戦だ。日本とは異なるコース、頃なるレース文化に触れたことが、佐藤自身にとって大きな刺激になった。

「やっぱり向こうのドライバーは日本のドライバーよりもすごくアグレッシブで、バトルの際もすごくシビアです。その中でいかに生き残っていくかということを学べました。あとは日本よりも、ドライバー同士で讃える機会がすごく多いなと思いました」

「日本のやり方もそうですし、向こうのやり方を知ったことで、また幅も広がると思いますし、すごく良い経験になりました」

このフランスF4ではポール・リカールやスパ・フランコルシャンなど、F1が開催されているコースが舞台にもなった。将来はF1へのステップアップを目指している佐藤も「オー・ルージュに最初飛び込んで行ったときは、内臓が持ち上がったのを今でも覚えています。『こんなにキツい上り坂なんだと改めて感じました。数周で慣れましたけど、あの1周目はすごく印象的でした。こうして実際にF1で使用しているサーキットでレースができるというのはすごく感激しましたし、楽しかったですね」と満面の笑み。これも良い刺激のひとつとなったのは間違いない。

2021年は再び日本に戻ってレース活動を行うのだが、佐藤の胸中にはもう一度ヨーロッパに戻ってレースをしたい、そのための2021年にしたいと決意を新たにしていた。

「もう一度ヨーロッパで戦えるようにしていきたいなと思っています。そのためにも、この2~3年でしっかりと結果を出すことが重要ですし、今年参戦するSUPER GTとスーパーフォーミュラ・ライツではチャンピオンを目指していきたいです」

「僕自身、まだF1という目標は諦めていないですし、もう一度ヨーロッパに戻って、まずはFIA F3やFIA F2に挑戦したいという気持ちがあります。そしてキャリアを積んで、後輩に尊敬されるレーシングドライバーになりたいです」

しかし、一口に“チャンピオンを獲る”といっても、現在のGT300クラスは非常にハイレベル化しており、チャンピオン争いに生き残るのもの至難の技だ。それに対して佐藤はシーズン中に何をしなければいけないのか、そのイメージはすでに出来ている。

「チャンピオンを獲るためには、総合力が大事だと思っています。良い時に勝つというのは当たり前で、悪い時にどれだけ良い結果を出せるかが重要だと思っています。悪い時でも出来ることをしっかり考えて、最終的にチャンピオンを獲れるようにしていきたいです。ARTAには素晴らしい先輩方がたくさんいらっしゃるので、そこは能動的に動いて、どんどん吸収できるように、色んなこと聞いていきたいです」

あと、僕はカートの時からタイヤ開発に携わっていて、タイヤを持たせるという点は得意としています。やっぱりSUPER GTは1スティントが長いので、後方からのスタートになったとしても、そこでうまくタイヤを持たせて追い上げる自信はあります。そういったところもプラスに繋げられると思います」

最後に佐藤は、ARTAのファンにこのようなメッセージを語ってくれた。

「オートバックスさんとは、色々なつながりがありましたが、今年からSUPER GTのARTAの一員となることができて、とても光栄に思っています。皆さんの応援があることでで、僕たちも速さをより見せることができると思うので、皆さん応援をよろしくお願いします」

SUPER GTから始まる19歳の“新たな挑戦”。開幕戦からどのような走りをみせるのか、楽しみだ。

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