プロが気になる「一般道の運転マナー」の○と×。[本音対談]鈴木亜久里×土屋圭市 | ARTA

2021.11.8

2021.11.8

プロが気になる「一般道の運転マナー」の○と×。[本音対談]鈴木亜久里×土屋圭市

高速の合流で入れてもらえる/もらえないクルマ

レーシングドライバーは、サーキットでレースをするだけでなく、移動のために一般道もクルマで走る機会が多い。日本国内だけでなく、世界中の道を走ってきた、鈴木亜久里総監督と土屋圭市エグゼクティブアドバイザーに、運転のプロの目に映る最近のマナーについて聞いた。

───いまどきの一般道は走りやすいですか?

土屋圭市:走りやすい。

鈴木亜久里:いまはマナーが良くなったよね、みんな。昔と比べて格段に良くなった。俺たちは全然飛ばさないしさ、オートクルーズ機能が付いているから、それに任せちゃうのでまったくイライラしないね。あおり運転で話題になるのは、すごくまれに起きた事例をテレビが映すから目立っているのであって、日本全体のモラルはすごく良くなっていると思う。昔はひどいヤツいっぱいいたじゃない? すれ違いでどっちがよけるみたいなことでケンカしてたりさ。

土屋圭市:大事なのは思いやり。

鈴木亜久里:そうそう譲り合い。

土屋圭市:それがあればイライラもないよね。一部の地域の人は、高速の合流で入れてくれない、なんていう話もあるけど(笑)。そういう場合、目も合わせないよね。

鈴木亜久里:あとね、小さいクルマに乗っていると入れてくれない傾向がある。

土屋圭市:それはあるね。

鈴木亜久里:黒塗りのセダンとかだったりすると入れてくれる。小さいクルマだと世の中の風当たりの強さを感じるんだよなあ。入れてくれない率が高い。

土屋圭市:人間、見た目で判断するっていうことだよね。

鈴木亜久里:俺、レジェンドとフィットに乗ってるんだけど、フィットだと入れてもらえない確率高い。気のせいかもしれないけどね(苦笑)。

土屋圭市:社会の中でクルマに乗るということは、相手がどんなクルマだろうと、「はい、どうぞ」という気持ちが大前提だよね。我々みたいに普段から乗ってる人間だと、ハザード出したりしてコミュニケーションとるけど、慣れてない人は「何やってんだ?」ってなる。それで逆ギレされることもある。

鈴木亜久里:首都高の合流なんかでは、図々しくいっておきながら、最後に平謝りで入れてもらうこともある(笑)。偉そうにするとケンカになるから。

土屋圭市:レースでもそれあるから。バトル中に接触しても手上げながら「ごめん、ごめん」ってやると、相手もぶつけて来ない。レースでも一般道でも、気持ちが大事だよね。相手の気持ちが分かれば、「しょうがねえな」ってなるから。あと、こっちがノーズ入れてるのに締めてくるヤツは、バチが当たると俺は思うね。

鈴木亜久里:ただ、いまのレースはそういうところをすごく厳しく見ているから、“レース”じゃなくなっている点はある。海外に比べて日本のレースはジェントルマンになりすぎな傾向だよね。

土屋圭市:確かにきれいすぎるところはあるな。

鈴木亜久里:それと変なクセを持っているドライバーはいる。アウトラップでペースが遅いのにラインを譲らないとか。そういうヤツは逆の立場になったときにどいてもらえなかったりするんだけどね。

一般道でいくら飛ばしても1位にはなれない

───近頃は“トナラー”と呼ばれる人たちもいらっしゃるそうです。広い駐車場で、他に自由に停められるのに、なぜかすぐ隣に停める人のことを呼ぶらしいです。普通は最低ひとつ空けて停める場合が多いと思うのですが。

鈴木亜久里:その人はきれいに並べようとしてるんじゃない?(笑) でも隣に停められたら嫌だな(笑)。よくいるよね、新幹線でもガラガラなのに、自分のチケットがここだからって隣に座ってくる人。でもその人はルールをきちんと守っているので、責めることはできないよ。

───おふたりは一般道でヒヤッとさせられたことありますか?

土屋圭市:ウインカー点けずに車線変更されるとドキッとする。

鈴木亜久里:俺はあまりドキッとすることはないかな。ゆっくり走っているし、車間距離もいっぱいあけてるから。いつも誰かが飛び出て来るんじゃないか、とか何かが起きることを予想しながら走っている。

土屋圭市:アグちゃん、すごくゆっくり走ってるよね。御殿場から東京までずーっとオートクルーズだったり。

鈴木亜久里:車間距離を詰めると神経使うからね。あけていると、前にどんどん入って来るけど、そうしたらまたあければいいだけのこと。だからイライラしない。一生懸命走って何台も抜いたところで、どうせ1位にはなれないんだから(笑)。

土屋圭市:最近はコロナの影響で電車利用の代わりにクルマに乗るようになって、慣れない人が増えた。追い越し車線をずっと走って何が悪い? って。

鈴木亜久里:ルールを知らないんだよね。カーシェアリングとかを利用する人は、普段あまり運転しないから土日の渋滞の元になっている場合がある。アメリカでは渋滞緩和目的で、ふたり以上乗車のクルマ専用のレーンがあったりするんだよね(カープールレーン)。そこを走りたくて人形を積んで走っていたら捕まったやつがいたらしいけど(笑)。まあでも日本人のマナーは、海外に比べてとても良いと思う。

土屋圭市:いまはロシアとか中国とかのドライブレコーダーの映像がYouTubeにいっぱい上がってる。

鈴木亜久里:ロシアでは早くからドラレコが普及したらしいからね。

土屋圭市:いまはみんなドラレコ付けているから、それが抑止力になっているよね。だから常に積んでおく方がいい。ドラレコは転ばぬ先の杖でさ、ひとりで事故を起こしたときにも状況証拠になる。もらい事故だってあるし。何もなくても、保険として付けるべきだよね。

鈴木亜久里:昔は当たり屋みたいなのがいたよね。いまだって、ドラレコがなかったら当てられ損。良いものは付けるべきだと思う。

土屋圭市:安物はダメよ。安物は映像が粗いから。

鈴木亜久里:いまは360°見ることができたりね。自動車メーカーも標準で付けるようにしてくれたらいいのにと思う。

土屋圭市:そうそう、純正で付けるべき。

鈴木亜久里:そうすれば、「みんなが監視している」世の中になるしね。でも基本はオートバックスで付けてもらいたいけど(笑)。

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