使えるタイヤは6セット
レースの勝敗まで左右する重要なポイントがタイヤ。ARTAは、ブリヂストンタイヤと共に戦っています。レースウイーク(公式練習〜決勝スタートまで)で使えるタイヤは、6セット。用意された24本のタイヤにはすべて印がつけられ管理されています。オフィシャルから「ウェット宣言」が出た場合は、レインタイヤを履くことができます。これは、6セットには含まれません。レースの総距離が300㎞を超える場合は、別に定められます。
レースを戦う選ばれし6セットは、たくさんの行程を経て決定されています。その一つは開発テストです。オフシーズンやシーズン途中に行われることもありますが、ドライ、ウェット、サーキットでテストを実施しデータを蓄積していきます。レインタイヤのテスト時は、テスト当日が晴れてしまったとしても、水を撒いて路面をウェットにして実施されます。
さまざまなデータを参考にレースウィークのだいたい1か月くらい前に、エンジニアが持ち込むタイヤを決定します。戦う前から大仕事ですね。
繊細なタイヤのメンテナンス
サーキットに入ると、メカニックは真っ先にタイヤメーカーのタイヤサービスにホイールを運び込み、オーダーしてあるタイヤを組んでもらいます。タイヤサービスは、秘密がいっぱい。海外のレースでは、ガードマンを置いているところもあります。パドックにタイヤメーカーのトランスポーターが置いてあり、外観は見ることができますが、そこは聖域だということは覚えておいてくださいね。
レース前20分間のウォームアップ走行で、レース第2スティントで使う予定のタイヤの「皮むき」がスタートします。ドライタイヤは表面がつるつる。走って表面を削ります。スクラブすると表現をすればわかりやすいでしょうか。路面にタイヤのゴムがほどよく溶けてグリップする為には、必要な作業。これを皮むきと呼びます。そこから予選に向けてタイヤを決めて行きます。
濡れている路面での皮むきは滑って危ないですが、そこはさすがGTドライバーさんたち。そつなくこなしていました。
予選、Q1で敗退してしまった場合は、そのタイヤが翌日の決勝スタートタイヤとなります。Q2まで進んだ場合は、予選後抽選で決められたタイヤ、Q1かQ2のいずれかのタイヤがスタートタイヤとなります。このタイヤの抽選は、予選後のポールポジション記者会見で行われ、ドライバーが代表して選んでいます。
決勝は、レースがスタートしてしまうとタイヤの制限はなくなります。あとは、戦うのみです。