2023.1.10

LEGAVELOに続く第2弾カスタムカー、公開前に土屋圭市氏が語る 前編

2023.1.10

ARTA MECHANICSの第2弾カスタムカーが、いよいよ東京オートサロンでお披露目となる。 TOYOTAのGR86をベースに、第1弾のLEGAVELOとはまた違う仕上がりになっている。 名前は「VIGALE(ヴィゲイル)」。勝利を意味する「VI」と疾風のGALEを掛け合わせた造語だ。 公開まで間近となったが、解禁前に仕上がりをレポートしたい。 クルマ×ファッションをテーマにするARTA MECHANICSのカスタムカーなので、 ファッションエディターとして活躍している谷中龍太郎氏に、ARTAエグゼクティブアドバイザー 土屋圭市氏による仕上がりのコメントを聞きながらレポートしてもらった。

■ARTA MECHANICSの第2弾カスタムカーが、ついに完成

2022年1月、東京オートサロン2022にてお披露目された、ARTA MECHANICSが初めて手がけたカスタムカー「LEGAVELO」。

贅沢に綾織りのドライカーボンを使っているのに、ブラックで仕上げることで悪目立ちさせず、タフな戦闘機を彷彿とさせる装飾を一切省いたデザインに一気に目を奪われ、パッと見て出た言葉が「カッコイイ」。そこいらの外車なんかを置き去りにするくらい、魅力的で心踊るカスタムカーが登場したことに感動しました。

義妹の父が、初代 NA1/2型、2代目 NC1型とホンダNSXを乗り継いでいるため、既視感のあるモデルなはずなのに、ベース車両の存在が霞むほど鋭い。それでいて気高さ、品の良い上質さも失わないバランス感覚にARTA MECHANICSの底力をまざまざと見せられました。

そんなカスタムカーの2号車が、次回東京オートサロン2023にて公開されると聞いて、高まる大きな期待。来年の発表を前に、ついに完成したとの報が届き、なんと! 元レーシングドライバーで、ARTAのエグゼクティブアドバイザーを務める土屋圭市氏の解説を交えながら、拝見できる幸運な機会に恵まれたので、喜び勇んで馳せ参じることに。

訪れた先に現れたのは、まだカバーが掛けられた2号車。その前に鎮座するのは、土屋氏。氏自らがカバーを取って見せてくれるとのことで、大きく息を呑んで身構えると、なんとも美しくシルバー色に輝くグレーの車体が目の前に現れます。

「日本刀のようでしょ?」と、語る土屋氏。今まで外車はもちろん、日本車でも見たことがないようなグレー。スーツではネイビーと並ぶ基本の色で、スニーカーならアメリカ・ボストン発のニューバランスなど、とにかく身近な色なはずなのに、既視感がない。アタマひとつ突き抜けているというか…。

そもそもグレーとは”品格”や”洗練”を表す色。本物のお洒落には、控えめな上品さを漂わせるのこそが重要で、華美なものは野暮、本当にクオリティのいいものは見せびらかす必要がないという、”アンダーステートメント”の精神が大切なのですが、2号車はそれを守りながらも昇華させている印象です。

土屋さんは、「元々、初代から続く”戦闘機”というコンセプトを表現するために最初はマットグレーから半ツヤグレーをイメージしていました。しかし、どうにも鈍い印象になると思ったので、シャープな切れ味のある印象を付け加えるべく、狙いとしては全くの逆行。ツヤツヤな鏡面シルバーに振り切っています」と続けます。

日本刀のような曇りのない高光沢なシルバーは、切れ味が鋭くて、シャープかつエッジィ。先述したニューバランスのスニーカーがグレーなのは、諸説ありますがスニーカーを履いて走る街並みはコンクリートやアスファルトなどグレーな色合いが中心で、そんな街並みにフィットするようなカラーとして選んだそう。この2号車も都会の街並みに馴染むカラーではありますが、研ぎ澄まされた刀のように街の空気を切り裂く、そんな独特な存在感を放ちます。

「逆振りは見事にハマって、このカラーはフロントバンパーやトランク部周辺など”やいば・刀”や”シェル(殻)”のように尖っていてエッジィなフォルムとも好相性。”いかにもカスタムが施された車”ではなく、最初からこのデザインだったような、元のデザインが思い出せなくなるような”カスタムに気づかない車”を目指したわけですが、納得のいく仕上がりです」。

土屋さんが話すように、2012年に登場した初代「トヨタ86」、そして2021年に車名は「GR 86」へと改められたとは言え、この車自体はスポーツカーの代表的な存在。それなのに、この2号車はまったく新しい別モノです。

「余計なことはしすぎず、クルマ全体のバランスを壊さないようリフィニッシュする」という、ARTA MECHANICSが掲げるコンセプト通り、新しい命が吹き込まれています。

そして、“TOUGH & HIGH RESPONSE”のタフ、屈強な部分が大いに露呈しているように感じます。

少しだけ本業であるファッションの話を交えさせていただくと、男性のファッションの基本となるのは“WORK(ワーク)”、“MILITARY(ミリタリー)”、“UNIFORM(ユニフォーム)”、そして“SPORTS(スポーツ)”なんて言われています。どれも機能的でタフ。無駄なものを一切削ぎ落として、命にかかわる問題を回避でき、それでいて丈夫なことが重要です。

しかし、ただタフなだけでは少々野暮ったい…。そこの部分を洗練させたもににこそ、グッドデザインが生まれます。著名なデザイナーが軍モノを元ネタにリフィニッシュさせたアイテムがカッコイイのは、まさにコレ。

「GR 86をリスペクトしながら、アイデンティティを読み切り、残すものか無くすべきものかを問い続けながら検証し、手を動かして、溶け込むように違う命へとスライドさせていく」。ARTA MECHANICSが、今回カスタムした際に込めた想いを、土屋さんが語ってくれました。

発表前なので、あまりお見せできず、多くを語ることはできませんが…。後編ではもう少しだけ、内装や乗り心地の面などについてお伝えします。

後編へ続く



谷中龍太郎

ファッション エディター。さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、干場義雅が編集長をつとめる講談社のwebマガジン『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。

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